(343) モンゴル日記(69)

【バヤン・チャンドマン農場④】

 写真上・下とも、農場に自生していた野草である。上はエーデルワイスで、アルプスを象徴する花として有名である。けれど、実はこの国の草原でも珍しくはない。よく知られた園芸事典には、この種はアルプスのほかシベリア,ヒマラヤなど広くユーラシア大陸に分布、と記載されている。

 モンゴルで初めてこの花を見つけた時、うれしくなって親友Bさんに告げたら、「シャチョー、この花なら田舎に行けばどこにでもあるよ」。それを聞いて、ガックリきた記憶がある。

 一方、下はカセンソウだ。黄色い花弁と花弁の間にすき間があく、この独特の姿が何とも言えない。好きな野草のひとつだ。かつて新潟県内で水生植物を調べまわっていたときに、初めて出会った湿性植物である。日当たりのよい湿地に生え、ここでは草原のくぼ地に小群落を形成していた。

 ところで たまたまエーデルワイスもカセンソウもキク科植物であることに気がついた。意図したわけではなく、農場の草原で比較的多く見られ、花色が白と黄色ということでとり上げた。だいたいキク科はとても大きなグループなのだもの。

 明るくなるにつれ、虫たちの鳴き声があちこちから聞こえてきた。そして、筆者が草原を進んでいくにつれ、その先々に潜んでいたバッタが飛び出し、逃げていった。

モンゴルの草原では、短い夏に花々が咲き、虫たちが飛び回る。 日々好日、日々感謝。 (K.M)