(349) この実,何の実,気になる実♫

 前号につづき、ある植物の果実を紹介する。さて、秋に写真の実がぶら下がる樹木は何か?この質問には、ヒントなしでは答えられなかった。

 正解はハンカチノキ。実の下に置いてあるのは10円玉である。だから、大きさは3,4cmくらい。けれど、どうもイメージが合わない!この地味で変哲もない木の実と、白い布きれのような花を優雅に垂れ下げる姿と、なかなか結びつかないのだ。その花の姿から、和名はハンカチノキとなったのだろうが、花といっても正確には苞である。学名はダヴィディア・インウォルクラタといい、中国でこれを発見したフランス人神父=ダヴィド氏にちなむ。

 ところで、筆者がこの木の花をはじめて目にしたのは、ノルウェイのオスロ植物園だった。1993年の5月のことである。高さ10mくらいのその大木には、数多くの白いヒラヒラが垂れ下がっていて、その情景に感激した。これがあのハンカチノキの花か・・・。

 それは仲間4人と連れだって、北欧を訪れたときのことだ。それまで文献や写真では知っていたものの、訪ねたノルウェイではじめて実物を目にした。それは印象的な出会いとなった。そして その植物園を後にして、日本人の入館者が何人もいたムンク美術館や、ヴィーゲランの彫刻が林立する不思議な空間=フログネル公園に向かった。この街には良い思い出しかない。

再び訪ねてみたいオスロである・・・日々好日、日々感謝。 (K.M)