(365) モンゴル日記(80)

モンゴル日記

【ウランバートルの冬の月】

 写真は、筆者の部屋から撮影した三日月である。下の光の点線は車列だ。

 この晩、鬱々としていた。部屋でテレビもつけずに、缶ビールを一人で飲っていた。昼間のいくつかの出来事、これから先のことを思い浮かべ、悶々としていた。それが消えたり、浮かんだり。そのうち、例の「哲学的疑問」も久しぶりに襲ってきた。・・・おれはどうして今、ここにいるんだろう?だいたい、なぜモンゴルか?・・・還暦になっても、こんな気持ちになる時があるんだなァ・・・。

 どうしようもない意識のこうした悪循環が、らせん状に大脳を上下する。ビールの空き缶が増えていく。そんな時、何気なく窓の外に目をやる。・・・おーっ、何とも美しく神々しい三日月が!!

 ・・・この夜空の中ほどに境目があり、上半分は月を含む天空世界、下半分は照明と喧騒あふれるシャバ世界。モンゴルであれ日本であれ、人はときどき天空世界に心を通わせないと、きっと心が持たないのではないか。下界を照らす月は、そのためには最良の天体かもしれない・・・。

 そのままボケーッと眺めていた。やがて気持ちが落ち着いてくる・・・。

 そう言えば、合弁会社のパートナーD社長が、遠方に行くときは必ず双眼鏡を持っていく。そして、その地で月を見上げる。どうも彼も、月を眺めるのが好きらしい。

酔いも深まってきた、さぁ寝るとしよう。 日々好月、日々感謝。 (K.M)