(376) モンゴル日記(91)

モンゴル日記 モンゴル日記

【チューリップの花束】

 今回もUさんの花屋でのことである。この日 花束を求めに、T嬢と共にそこに寄った。目に飛び込んできたのが、冷蔵庫のチューリップ(写真左)。この時期に もうチューリップが!中国産だというが、うれしくなって、さっそくこのチューリップを使ってこしらえてもらった。それが写真右である。

 この晩、親友Bさんご夫妻から、T嬢ともどもご自宅での夕食に招かれていた。そこで思いついた、奥さんに花束を持って行こう!なにしろ この国では、男が花束を持って街なかを堂々と歩けるんだもの!

 しばらく店員さんのその花束づくりを眺めていた。プロだから当然かもしれないが、実に手際よくまとめていくものだ。ここの店員さんたちはよく働く。何度も来ていて、その様子にも接している。「稼ぐんだなァ」という印象を持っていた。

 さて 花束も出来あがり、支払いをしようと値段を聞いた。ところが、店員さんは笑顔で何か言いながら、手を振って受け取らない。「お金はいらないそうです。Uさんに言われているんじゃないでしょうか」と、T嬢の通訳。恐縮した。

 ところで 花束を持って誰かを訪ねる気分は、やはり悪くない。相手がどなたであれ、花を贈る行為によって相手との気持ちのやり取りや心の交流が生まれる。もちろん奥さんは喜んでくれた。

飲み屋のママさんへの花束ですら、ちょっとはワクワクするもの。日々好日、日々感謝。 (K.M)

(375) モンゴル日記(90)

モンゴル日記 モンゴル日記

【ビートルズの記念像】

 写真左が表、右が裏面だ。幅5m,高さ3mはあろうか。なぜウランバートルのこの場所で、ビートルズなんだろう?ずーっと疑問を抱いていた。仮に設置されるにしても、この場所じゃなくてもいいのではと、お節介ながら思っていた。

 何もビートルズが嫌いなのではない。逆に、彼らは20世紀の偉大なミュージシャンだと考えるし、その何曲かは知っている。

 このビートルズ像がある場所は、市中心部の公園だ。それは大通りに面していて、大手デパートのノミンから南に200mほどの場所。いわば一等地である。そして、このビートルズ像の南側には、功績顕著だったモンゴルの元首相という人物の座像も設置されているのである。

 突拍子もない例えだが、日比谷公園に吉田茂元首相の像が建っていて、そのそばにビートルズ像が立っているようなものだ。これにはおそらく、多くの日本人が違和感をもつのではなかろうか。

 今回、このビートルズ像に関していろいろ調べた。その結果、この像は2008年に建てられたらしい。そして、その設立者はビートルズの熱心なファンだった有志たちだという。けれど、どうしてこの場所なのか?ある親しい人が語った、「その有志のなかには現在のウランバートル市長も含まれているらしい」と。真実かどうかは別にして、納得がいった。

モニュメントにはそれにふさわしい場所があろうに・・・。 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(374) モンゴル日記(89)

モンゴル日記 モンゴル日記

【生花と造花】

 カウンターの二つの花束には、生花に混じって造花がアレンジされていた(写真左)。両方とも2本使われていた。右の写真はその拡大である。これもモンゴル流かと苦笑したり、いや花の流通が少ない時期に考え出された手法かも知れない、などとも思った。

 店に入ったとき、「今ごろ、何の花だろう?」。近寄ってよく見たら、生花ではないのだ!筆者はよく知らないが、日本でもこんなやり方がとられているのだろうか?まぁ、こうした花束が受け入れられるというのは、いい悪いではなく、感覚の違いなのだろうが。

 これを“発見”したのはソヨーチ社グループに属し、同社のD社長の兄Uさんが経営する花屋さんだった。店は「フラワーセンター」の1階にある。

 そこはウランバートルの繁華街にあり、D社長が所有するビルである。みやげ物店や両替所などいろいろな店舗が入居し、観光客も集まる人気スポットでもある。

 さて 花束の話に戻る。違和感を覚えるのはもう一点ある。その姿は写真にもあるが、花首(付け根)にビニール製のようなネットを付けるのだ。昔みかんを入れていた、あんな袋状ネットの目をもっと細かくして、様々な色彩にしたものである。このやり方は極東ロシアの花店でもよく目にした。だから、おそらく旧ソ連からこの国に入ってきたものだろう。筆者は好まないが。

好き嫌いはあるが、世界中に色んな花束があって 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(373) モンゴル日記(88)

モンゴル日記

【広場の冬】

 写真はスフバートル広場に出現した臨時のスケート場である。2009年以来 この国に通っているが、初めて目にした。おそらく最近 設けられたものだろう。眺めていたら、滑っているのはさすがに若者が多かった。

 背後に見える堂々たる建築物は政府宮殿だ。その中央には巨大なチンギスハーン座像がある。さて この広場、もう何度か紹介しているが、ウランバートルの中心部にあり、冬以外は多くの人々で賑わう。一般の観光客はもちろんのこと、いろんな人々が訪れる。

 たとえば、現在は中国領になっている内蒙古自治区に住むモンゴル民族の人々だ。何度か出くわしているが、彼らはだいたいモンゴルの民族衣装に身を飾り、ここにやって来る。いらぬお節介だが、モンゴルを中国から独立させた英雄の名前のついたこの広場を、彼らはどんな気持ちで歩くのだろう。

 また、結婚式の新郎・新婦などもここを訪れる。そして、親族と共にこの宮殿前で記念写真を撮るのだ。こうした光景も2,3回 目撃したことがある。最近これが増えているらしい.

 ところで この広場では時々、スケートのみならず変わったイベントも催される。去年は恐竜展が開かれていた。筆者も親友Bさんと共に見学したが、そこではアメリカから返還されたという巨大な恐竜の化石が展示されていた。

チンギスハーンが見ている前では、滑るより駆ける方が似合う? 日々好日、日々感謝。 (K.M)

 

(372) モンゴル日記(87)

モンゴル日記

モンゴル日記

【 冬のサクラ?! 】

 写真はイルミネーションの人工樹木である。サクラのイメージらしい。農場に行くとき通る道路沿いで目にする。建物の駐車場まわりに植えられて(?!)いる(写真上)。夜はたいそう美しく、遠くからでもよく目立つ(写真下)。

 この〝サクラ〟、ピンクと白の光を放ち、高さ1.8m,幅1.5mはあろうか。20本以上はあり、実際に植栽されている針葉樹と針葉樹の間にも立っている。昼間見ると、ちょっと奇妙な風景ではある。よく行くスナックのママさんのすっぴん顔を見てしまったような感じ。

 この建物は食品スーパーを核にした複合ビルで、大手企業の出先なども入居している。韓国資本のビルらしい。知り合いの話では、このスーパーで売っている野菜はモノが良いという。

 サクラ,フジ,スモウ,カラオケ,スシ・・・これらの日本語は、最近のモンゴルではよく知られている。合弁会社の名前フジガーデンも、パートナーであるD社長から言い出したものだった。「フジはそんなに知られているんですか?」と聞いたら、多くのモンゴル人が知っているという。それなら、と決めた。

 ところで、この種のイルミネーション樹木はここだけではない。散歩コースにある某国大使館の敷地にも立っていて、こちらは暗くなると明るい緑色に輝く。これはこれで、なかなか映える。

生命は持たないが、何やら妖しい樹木ではある。日々好日、日々感謝。 (K.M)

(371) モンゴル日記(86)

モンゴル日記(86)

モンゴル日記(86)

【 缶開け 】

 アパート生活に慣れてきた頃のこと。ふたを開けるタブのついていない、古いタイプの缶詰を開けるのにてこずった。缶切り道具は当地で購入し、それで挑んたのだが、これがうまく使えない。穴は何とか開いたのだが、缶のふたを切り進むことができない。何度やってもダメなのだ。

 魚不足になりがちな食事の一品にと考え、ロシア産らしいイワシの缶詰めを開けようとした。しかし、コトは簡単にはいかなかった。しまいに諦めて、その朝食のメニューには加えずじまい。

 その後に、T嬢がいつものように部屋まで迎えに来てくれた。そこで、彼女に何かいい方法がないか尋ねた。そうしたら 「別のもので開けましょう。カタオカさん、ナイフはありますか?果物ナイフでいいですが」。そこでそれを彼女に差し出し出す。そうしたら何と・・・、彼女は事もなげに缶を開けはじめた。

 写真上で缶のふたを切り進めているのは、その果物ナイフである。もちろんマニキュアの爪は彼女の手だ。そして彼女は難なく、コトを成しとげた。写真下は、彼女が見事に開けてくれたその缶である。ナイフの刃もこぼれていなかった。

 さすが、と理由はうまく説明できないが感心した。そして、チラッと恐怖も覚えた。刃物を上手に使うんだもの。それをすぐに打消し、彼女に感謝,感謝。

T嬢は日本語も英語も話し、こんなたくましさ(?!)も持ちあわせる才女である。日々好日、日々感謝。 (K.M)