(401) モンゴル日記(116)

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【北京だより ④】

 写真左はアザレア、右はオリエンタル系と思われるユリである。ご覧のようにどちらも出来は悪くはなく、姿かたちもそろっている。両方とも日本でもよく出回っている鉢物だ。

 写真左を当地のアザレア栽培の名人に見せた。彼は、カメレオンという品種にちょっと似ているが、日本では流通していない品種だろう、と語った。おそらくヨーロッパから導入した品種ではなかろうか、とのこと。

 アザレアをこの展示場に出展していた生産者は、このほかにも数軒あった。しかし、ここのように何千鉢も(ひょっとしたら1万鉢以上あったかも知れない)並べていたところはなかった。ただ、他の品種はこの展示場では見当たらなかったが。

 さらに その名人の話では、その大きさがほぼ均一でそろっていること。また花や葉のようすから判断すると、おそらく強い矮化剤をかけたと思われるとのこと。ただ ポット植えの用土は、現地土ではなくピートモスが使われていた。この点も以前の中国産の鉢物と違う点のひとつだ。進化しているようである。

 一方、写真右のオリエンタル系のユリである。これらは日本の栽培レベルと比べても、大きな違いがなく病害虫の影響も認められなかった。実際に当地のユリ生産者にもこの写真を見せたところ、概ね評価は悪くなかった。

中国によく行っている人は、かの地の花の品質アップは知っていた。日々競争、日々向上。 (K.M)

(400) モンゴル日記(115)

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【北京だより ③】

 北京では、業者向け展示即売場は2ヶ所見てまわった。最初に寄った施設では、写真のように「盆栽らしきもの」が並んでいた。写真左は雑木の類だが、樹種は何だろうか。鉢もそれなりのものが使われ、針金がかけられ、曲もつけられてはいたが。

 ここはパートナーのD社長と一緒にまわった。そして 彼はこれらを指さしながら、「これは盆栽なのか?」「うーん、盆栽に近いが盆栽とは言えないと思う」、と筆者。

 帰国してから、盆栽を知る人にこの左側の写真を見せた。彼は、この段階から手を入れていったなら盆栽にはなるだろう、という話。また 樹種はニレなどではなかろう、とも言っていた。

 日本の盆栽とは異質な「盆栽もどき」は、何種類か展示されていた。ひょっとして、こうした代物がヨーロッパに輸出されているのでは・・・。そして、あのアムステルダムの運河沿いに並ぶ花屋の店先に出されているのが、こうしたものかも知れない、と思った。

 ところで 目を引いたのは写真右のボンサイである。これも、どうも日本的な盆栽とは異なる。姿かたちの点でいえば、根上がりのようだが、チト違う。また樹種の点では常緑広葉樹なのだが、モチノキなどでもない。・・・結局、マングローブ林を構成するヒルギの仲間ではなかろうか、と仮説を出した。根上がりの根に見えるのは、気根なのではないか?

やはり北京では 日々発見、日々ビックリ。 (K.M)

(399) モンゴル日記(114)

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【北京だより ②】

 これまで中国の花産業などには、あまり関心がなかった。だから、その種の情報はほとんど持っていなかったし、だいたい北京にこんな大規模施設があることすら知らなかった。花の集積地は上海や広州あたりなのだろう、などと考えていた。

 ところで写真左には、アンスリウム,コチョウラン,フクシア,球根ベゴニアなどが、右にはゼラニウムやハンギング仕立ての観葉ものなどが見える。実にさまざまな花が集まっていることは先に述べた。そのうえ、それらが膨大な量なのだ。とうぜん品目ではダブっている出展者が少なくない。球根ベゴニアやフクシアなどは、何軒も出展していた。

 ところで これまで、中国産の花には〝安かろう悪かろう〟というイメージを抱いていた。けれど、これらの施設を回っているうちに認識が変わった。総じて出来は悪くはない。どうやら品質が上がっているようだ。

 次に価格である。日本と比べて、約二分の一から三分の一、中にはそれ以下のものまであった。ほんとうに安い。品質がそれほど悪くなく、価格が安い。これではウランバートルの園芸店で大量に出回るわけだ。物流という点からも陸続きなので、トラック輸送で北京からウランバートルへ比較的容易に運べるらしい。

 モンゴルでは花だけでなく、日用品,野菜の類まで、幅ひろくMade in Chinaが浸透している。

2日間の北京だったが、日々好日、日々感謝。 (K.M)

(398) モンゴル日記(113)

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【北京だより ①】

 少しさかのぼるが、この5月もモンゴルに滞在していた。ところが そのうち2日間、北京に行って来た。パートナーのD社長の発案で、通訳とビジネスの勉強も兼ねて社員のT嬢も同行し、3人で出かけた。

 筆者にすれば、十数年ぶりの北京である。そして、ほんとうに驚くことばかりだった。まず北京は大きく変貌していた!かつての首都ではない、そしてかつての中国ではない!けれども唐突だが、万が一この国が崩壊したならば、それこそ想像できないような混乱に陥るだろうと考え、背筋が寒くなった。

 というのは、モンゴルに渡る前に長谷川慶太郎氏の中国に関する近著を読んでいたからだ。その内容にぐいぐい引き込まれ、二日で読み終えた。そして その本の内容と、実際に訪れ目にした風景が一致する点はいくつかあったのだ。でも、それはここではひとまず措く。

 さて 写真はいずれも、北京郊外にある花卉の大規模市場の風景である。それは日本のような卸売市場ではない。さまざまな花卉園芸の生産者・業者、あるは資材業者が多数集合した、業者向けの展示即売場ともいうべき施設である。

 とにかく広く、花の種類も実に多様だった。左右の写真の通りである。無いのは日本の伝統園芸植物くらいのもの。けれど、こうした施設は1ケ所のみならず、北京に数ヶ所あるということだった。

中国は巨大で複雑で面倒な国ではある。日々注意、日々観察。 (K.M)

(397) モンゴル日記(112)

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【ベランダから】

 いずれも筆者の部屋から見た、ウランバートル南西方面の風景だ。写真左は5月9日,右は6月15日で、いずれも朝である。左はモンゴルらしい風景といえば、そうかも知れない。何せ5月でも雪が降るのだから。新潟では絶対ありえないことだが。

 とは言え5月の雪は、積もっても長くは持たない。たいてい昼頃までには融けてしまう。おそらく日中の気温が上昇するからだろう。ただ前夜 何も無かったのに、翌朝こうした突然の雪景色を目にすると一瞬とまどう。と共に、一晩でまったく別世界に変貌することにおもしろみも感じてしまう。 とは言え、ベランダの手すりに積もった雪の量を見ると、ちょっと驚いてしまうことも確かだ。10㎝くらいはあったのだから。

 よーやく春が来たが、冬に逆戻り!と嘆くよりは、モンゴルの5月はこういうものなのだ。とくに前半は、春に冬がときどき入り込むらしい、と考えた方がストレスが溜まらない。まァ筆者は新潟に暮らしているから、まれに3月前半にはこういうこともあるわなァ・・・と受け止めるようにしている。

 けれど 写真右のように6月半ばともなると、茶褐色だった景色にようやく緑色が加わってくる。セルベ川の川原や、南の山々の草木が新葉を出しはじめたからだ。それほど鮮やかではないが、やはりうれしいものである。

まもなくモンゴルでは春と初夏が一挙にやってくる。日々好日、日々感謝。 (K.M)

(396) モンゴル日記(111)

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【トラックの荷物】

 この写真は農場に向かう途中、前を走っていたトラックの荷台である。いやァ、まずその積荷にびっくりした!何と缶ビールなのだ。それも、シートか何かで覆いもせずに走っている。そのうえ、ちょっと信じられなかったが、どうやらロープをかけていないようだった。

 まァ、日本では絶対目にしない光景だ。だいたい缶ビールを大量に、それもほぼ露出させて走るなどということは、まったく考えられない。たいていはコンテナ車か、せめて幌のかかったトラックだろう。けれど、何と言ってもロープをかけていないことが怖かった。「荷がくずれてきて、事故にでもならなければいいが・・・。」

 その一方で、「もしあの缶ビールがくずれて来て、それを拾い集める手伝いをしたら、5,6缶くらいはお礼としてもらえるかなァ、沢山はいらないから・・・」。バカな夢想をしながら「人間いやしいものだ、とくに酒飲みは・・・」とニヤニヤした(のだろう)。隣のドライバーT嬢が「カタオカさん、なぜ笑っているのですか?」と聞くから、「いや、泡みたいなことを考えていました」。彼女「?」

 どうあれ、あまりに低速だったので、しびれを切らしたT嬢は追い越した。積荷の缶ビールはモンゴル国産品だった。どうでもいい事だが、ただ筆者の好きな銘柄ではなかったが。

モンゴルには美味いビールが少なくない。だから、休肝日はほとんどない。日々飲酒、日々感謝。 (K.M)

(395) モンゴル日記(110)

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【ウランバートル駅】

 ウランバートル駅の駅舎は、市内でも瀟洒な建物のひとつだろう。写真左がその昼間の風景。地味だが、どっしりとしていて落ち着いた雰囲気を持っている。そして 右が夜の風景である。昼間とだいぶ違った姿を見せ、情感漂う景観となる。哀愁すら感じる。ただ写真は動くクルマから撮ったもので、ぶれた点はご愛嬌と思っていただきたい。

 温室のある農場まで行くのに、よく通る道の沿線ではない。しかし、ときどき前を行き来することがある。上述したように夜景が美しいので、そんな時間にこの前を通るときはうれしくなる。けれど、まだ降りたったことは一度もない。これまで全く用事がなかったからだ。

 しかし、これからは横浜港を起点に船と列車を利用して、日本製の園芸資材を輸入する。そうなると、この駅の近くに鉄道貨物の税関があるようなので、T嬢に連れられてここに来ることもあるだろう。ちょっと楽しみなのだ。

 ところで、向かって左側が中国方面に、また右側がはるかモスクワにまでつながっているという。単線なのだが、朝などは数十分に1本程度の割で客車か貨物列車が走る。

 残念なのは昼も夜も、駅舎前にクルマがびっしりと駐車されることだ。だから、駅舎の足もとまで入れた全景を見ることがなかなかできない。早朝くらいは見れるだろうか?

いつかこの駅舎に立ち寄り、内部の様子も見てみたいものだ。日々好日、日々感謝。 (K.M)