(412) モンゴル日記(127)

モンゴル日記

【夜明け前の月】

 月光が皓皓とあたりを照らしていた。夜明け前の美しい月だった。立ち並ぶビルの上空に浮かび、その背景の低い山並みをうっすらとシルエットに仕立てていた。満月の翌日だったから、まだ欠けてはいない。写真はアパートのベランダから撮影したものだ。

 この日の朝、4時過ぎに目が覚めた。ベランダの温度計は12℃。前夜はある集まりでけっこう飲んだはずなのに、不思議と酔いが残っていない。早朝で時間もあったので、厚着をして窓を開け、ずーっと見上げていた。

 風はほとんど吹いていない。それにここでは気候条件からか、蚊が飛んでこない。刺された記憶がない。水たまりがほとんど出来ないし、水面は河川以外は見あたらない。たぶん蚊の幼虫の育つ環境が成立しないのだろう。

 さて この窓からの風景のなか、動く物体はほとんど無い。今日が土曜のこともあるのだろう、昼間はあれだけ渋滞する道路もクルマが通らない。時おり、川の手前の線路を列車が通り過ぎるくらいだ。ボケーッと眺めていると、やはり吸い込まれそうになる月だった。

 こんな月を朝から拝んだせいか、気分が乗ってこの日の朝食は豪華になった?!つまり、パン+ブルーベリージャム,特製豚汁,納豆(卵&刻みネギ入り),ミニトマトぽん酢漬け,牛乳,ミカン,緑茶といった具合に。

 モンゴルでは、星に劣らぬくらい月も美しい。今日もよい日になりそう!

日々好月、日々感謝。 (K.M)

(411) モンゴル日記(126)

【北京だより ⑭】

 天壇公園で目にした楽器演奏の人々である。園内で出会った唯一の音楽関係者たちだった。そして吹いていた楽器が興味深かった。それは「ヒョウタンの笛」だったのだ。

 吹いていたメロディは明るい感じのものだった。けれど、音色自体は少しわびしいというか、もの悲しいように筆者には響いた。楽器の持つ宿命的な音色なのだろうか。興味深かったので、しばらく耳を傾けていた。

 帰ってからこの楽器のことをインターネットで調べてみた。いくつか関係の記事が載っていたが、中にはその音色まで聞かせる解説もある。

 ところで、このヒョウタン笛は中国の少数民族であるタイ族やイ族などの民族楽器なのだという。名前は「葫蘆絲 ふるす」というらしい。葫蘆はヒョウタンを、また絲は細長い物をさすのだそうだ。

 構造的には小さなヒョウタンを共鳴装置にし、3本の長さの異なる竹の管を並べてヒョウタンのなかに挿しこんである。その竹の管の下端に、金属のリード(と言うべきか?)が取り付けられている。音を出すのは容易らしいが、吹く力によってちゃんとした音が出る,出ないがあるらしい。

 ある解説によれば、最近になって北京や上海でこの楽器の人気が高まっているという。かの国においても民族文化や伝統への再評価という傾向でもあるのだろうか・・・。

天壇ではいろんなモノ,コト,ヒトに出会った。北京でも 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(410) モンゴル日記(125)

 

【北京だより ⑬】

 これも天壇公園での風景である。突如なんだ、と思われるかも知れないが、写真展が開かれていた。写真左はその中のひとつ、老成円熟の域に達したアメリカの俳優たちの姿である。左からモーガン・フリーマン,マイケル・ダグラス,ロバート・デ・ニーロ,ケヴィン・クライン。魅せられた作品のひとつだ。

 実はこれ、公園の園路沿いに展示された屋外写真展なのだ(写真右)。こうした催しをここで行うのは、それなりの意味があるのかも知れない。それはともかく、粋な企画だと思った。日本人は「反日」で除かれたのだろうか、10人ほどの写真家の作品が展示されていた。きっと名前の知られた各国のプロたちなのだろう。「こりゃ傑作!」「ウーン・・・」「味があるわなァ」といった作品が並べられていた。

 さまざまな写真が園路に面して立っていたが、日本のモノを被写体にしたものは1点だけあった。雪原に降りた二羽の丹頂を撮ったモノである。

 ところで この場所に来る直前、ビックリしたことがあった。園内を行き来する人々のなかに、後ろ姿が亡父にそっくりの人物を見つけたのだ!背格好・頭髪のぐあい、おまけに歩き方もよく似ていた。まさかと思って、さりげなくその人を追っかけてUターンをし、正面から確かめた。違った!違ってよかった。同じだったら、シャバが面倒になる?!

何があるか分からない天壇である。日々興味、日々津々。 (K.M)

(409) モンゴル日記(124)

 

【北京だより ⑫】

 これも天壇公園の一コマである。写真左は、「祈年殿」と呼ばれるとても有名な建造物の裏側にあたる場所だ。その施設では明・清代に皇帝が祭祀を行った。宗教的な空間なのだ。

 その「祈念殿」裏では何組かのペアが、日本の羽子板あそび?というよりバドミントンのような球技をしていた。ただし打ち合うのは羽ではなく、ボール状のものだった。何度か訪れている中国だったが、今回はじめて見た。インターネットで調べてみたが、その球技の名前は分からなかった。

 一方 写真右のペアは、筆者(右)と合弁会社のパートナーD氏だ。今回改めて分かったが、彼はメカに詳しい!「カタオカサン、~(モンゴル語)~」と言いながら、手を差し出してきた。筆者の持っていたデジカメを貸せという。それとなく意味を察したので、カメラを渡した。そうして 手なれた要領で自動シャッターに切り替え、それを欄干のうえに置いて撮影したのだ。

 筆者はメカに弱く、自動シャッターなどは説明書を読みながらでないと、セッティングが出来ない。それを彼はデジカメとはいえ、いつもいじっている機種でもないのに、事もなげに操作した。ともあれこの写真、祈念殿がまわりの建物と共に何とかおさまった。しかし朝早かったので、残念ながら中心部の施設はまだ開門されていなかった。

なおこの天壇、ユネスコの世界遺産に登録されている。日々好日、日々感謝。 (K.M)

(408) モンゴル日記(123)

 

【北京だより ⑪】

 写真の撮影場所は2枚とも、天壇(天壇公園)である。参考までに記すと、その総面積は273万㎡という。とにかく広大な敷地で、樹種は多くはないものの、その大半が木々のしげる緑地であった。

 北京滞在2日目の朝、7時前。D社長とタクシーに乗って天壇に出かけた。彼はたびたび北京を訪れるようだが、その際だいたいこの公園に寄るらしい。距離にすれば意外に近かった。

 写真左は東門から入って数百mの場所である。多くの人たちがさまざまな運動を行っていた。いわゆる器械体操なのだろう、そこには鉄棒やら平均台やら各種の器具が備えつけられていた。そして それらを利用してグループで、あるいはカップルで様々な運動に励んでいた。周囲の人に触発されてD社長と共に園路をカエル跳びしたり、鉄棒を利用して体を動かしてみた。「ううっ・・・」二人とも体が固くて、周りの高齢者たちより高齢者?!みたいだった。筆者はもう10年以上、体操を続けているのだが・・・。

 その広場を後にして、さわやかな空気のなか園路を進んでいく。すると、あちこちでグループごとにさまざまな運動に精を出していた。その中でも写真右は、太極拳らしき動きを見せていた女性軍である。筆者はあの独特のゆるやかでおっとりした動作にしばし見入っていた。

結局この日、筆者自身が体操を行う機会を失い、今年2回目の休みとなった。日々体操、たまに休み。 (K.M)