(597) モンゴル日記(312)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて60 】

北モンゴル最奥部を訪ねて60

北モンゴル最奥部を訪ねて60

 上の写真で中央に見えるのは、ツーリストキャンプ東側にそびえる断崖である。博識のB氏の説くところでは、これはただの崖ではなく、かつての城砦だったという。

 彼の話によると、時代は17世紀のこと。モンゴルは欧州まで迫る大帝国を築いたチンギスハーンの時代,つまり13世紀の頃と事情が大きく違っていた。国が分裂時代に入っていたという。

 やがて当時の満州国の軍が北モンゴルに攻め入ってきた。それに対して、チュン・グンジャオという将軍がモンゴル軍を率いて勇猛に戦ったという。

 その激戦地のひとつがこの城砦だったという。 しかし,結果的に彼は敗軍の将となり、ロシアに逃げたらしい。その後も満州はたびたび攻め込み、とうとうモンゴルを支配下におさめた。それ以降,支配者は変われど、200年にわたりモンゴルは独立を失っていたという。

 ところで数日後,たまたまB氏に誘われ、この断崖の上まで登った。そして,そこで城砦説を納得するような情景を目にした。それについては後述する。

 さて下の写真では、ツーリストキャンプの一部とテングス川、その奥に残雪を所々に抱く山並みが覗く。これらはロシアとの国境沿いに連なる、標高2,000m~3,000mクラスの山々である。

 同じ写真で,左側の瀟洒な家屋はツーリストキャンプのコテジで、筆者たちはこれらに分散宿泊した。日々休憩、日々安息。 (K.M)