(640) モンゴル日記(355)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて103 】

 いわば難所を越えたので、再び筆者は馬に乗った(乗せられた?)。上の写真の右側には、さっき通って来た両側の絶壁が覗いている。写真の二人はM嬢とJ君だ。しばし言葉を交わしていたようだ。その彼女も手綱さばきは達者のように見えた。それが間違いないことは、この後すぐ分かった。

 ところで結局、筆者の歩きは10分間くらいだったろうか。歩くのは岩道でもまったく苦にならない。むしろ,これで今日も万歩計の数字が1万以上には達するだろう。

 岩が混じった緩やかな下り坂は、やがてお馴染みの広大な草原に変わってきた。そして,その彼方には”わがキャンプ”もやっと見えてきた。「おおっ」、ホッとした。下の写真がそうである。

 そのうちにJ君以外の男の子たちは、みな馬を走らせた。意外にもそれに続けとばかり、目の前のM嬢もその白馬を疾駆させるではないか。この写真撮影のすぐ後だ。結局,置いていかれたのはJ君と筆者だけだった。トレーナーにつき従ってきた犬までが去って行った。

 平地になったが、馬を走らせることなど怖くてとてもできない。そんな事をしたら,すぐ落馬するだろうから、ポコポコ歩くしかなかった。でもJ君がつき合ってくれた。ひょっとして彼はモンゴル人とはいえ、乗馬は得意ではないのかも知れない。だけど、そんな事は決して訊かなかった。

やっと我が家、やっと安心。 (K.M)