(644) モンゴル日記(359)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて107 】

北モンゴル最奥部を訪ねて107

 写真上は前号で述べた、集積された岩石群の足もとで撮影したものだ。やはり自然の力では、こんな積み上げが形成されるはずはないだろう。斜面の長さは3~6mくらいはあろうか。この大量の岩石はやはりどこかから運んできて、ここに集積したものだろう。さしずめ,これは”城壁”とでも言うべきか。

 この”城壁”を敵が下から登ろうと試みるのは、至難の技だったろう。仮にそうしようとしたら、モンゴル側がその敵に向かって上から岩を落としたり、弓矢を射ったりするだろうから。けれど,そうしなくても実際この人工斜面には登りつけないと思う。なぜなら日本の城郭の石積みと違い、岩石と岩石がきちっと組まれていないのだ。ご覧のようにただ重ねているだけみたいで、上に乗っかるとグラつく岩もあった。ちょっと危ないのだ。

 次に下の写真である。上の写真の”城壁”を登りきると、こうした大広間のような空間が広がっていた。ゆるい傾斜はついているが、ここなら何百人かの兵士や武器は集められるだろう。この点から見ても、ここは天然の空間ではないと確信した。

 ここはやはり城砦だった可能性が高い。B氏が語ってくれた話が信じられる。つまり,17世紀にチュン・グンジャオ将軍がモンゴル軍を率いて、満州軍相手に奮闘した戦跡なのだと。(それについては(597)号で前述)

 たまに歴史感覚、たまに将軍気分。 (K.M)