(646) モンゴル日記(361)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて109 】

北モンゴル最奥部を訪ねて109

 ここでは東側以外、あっちもこっちも見晴らしがよかった。そして驚いたことに、こんな場所にもオボーがあった!つまり人々がやって来ている証左だ。

 筆者はひとりで城砦の中心部をじっくり見てまわった。その後は周辺の植物探訪を始める。けれど,めぼしい植物には出くわさなかった。やがて尾根を進み、だんだん下りていく格好になった。そのとき上の方から、「シャチョー、まだ下りちゃダメだよ」。B氏の大声が聞こえた。

 ふり返ると、遠くにB氏とJ氏がいた。三方を断崖に囲まれたこの山の南東側に、こうした小高い地点があったのだ。ひょっとしたら,これが頂上というべきかも知れない。そして、そこにオボーが見えた。

 このオボーは目には入っていたのかも知れないが、認識していなかった。モンゴルの人々はこのオボーが好きだ。というより、これに旅の無事を祈る。その儀式としては石を3個拾い、三回オボーのまわりを回る。一回まわるたびに1個づつオボーに供えて祈る。大昔からの習俗らしい。だから,かつてチンギスハーンの大軍団も西に赴くときは、こうしたオボーを築き祈ったことだろう。

 さて下の写真はそのオボーだ。こりゃあ小型だった!山の上だからなァ、こんなもんか。人物は左側がJ氏、右側がB氏である。彼らの服装は7月半ばとはいえ,上には厚地の長袖を着ている。

時々オボー、時々祈り。 (K.M)