(651) モンゴル日記(366)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて114 】

 さて左岸に渡った。岸辺に抽水植物などが全くない右岸と違い、こちらにはヨシやガマの仲間が水際からビッシリと生えていた。だから船首を岸に寄せることができず、浅瀬で船を降りざるを得なかった。数日前この茂みの中にヨシキリのような姿を目撃したのだが・・・。

 さて船を降りた筆者とJ君は、キャンプのある対岸の方を振りかえった。1時間後に迎えに来てもらうことにした。それで乗って来たボートが去って行って行く。そして,向こう岸では8人のメンバーがこちらを眺めていた。上の写真の構図である。

 こうした光景を眺めていたら、”置いていかれた”ような錯覚を覚えた。やがて,ちょっと侘しい心境になる。何だか島流しの流人のよう・・・。J君はどんな気持ちなのだろう?! けれどそれも束の間、岸から斜面を上って平地に出ると、多くの花々が筆者たちを迎えてくれた。これは予想外のうれしい出来事で、これが気分転換のきっかけとなった。

 下の写真のように、まず目に飛び込んできたのは青い花だった。これは日本でいうと,おそらくフウロソウの仲間だと思う。この青い花の背後で、赤い蕾を付けているのがヤナギランだった。これはこの北モンゴルの山地,草原でときどき見かけた。しかし,ここのヤナギランは他所では見られないほど、広い面積であちこちに群落を形成していた。

 対岸に花あり、対岸に潤いあり。 (K.M)