(690) モンゴル日記(405)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて153 】

 写真の上・下はいずれもワレモコウである。密集度合いはそれほどでもないが、草丈があって花もこげ茶というか暗赤色というか、目立つのだ。だから,一応お花畑のような景観となる。

 このワレモコウ、この国ではこれまでいたる所で目にしてきた。親友B氏のダーチャでも見たことがある。ただ,こうしてまとまった集団にはあまり出会ったことはなかった。

 下の写真は上の写真のほんの数分後の風景だ。ちょうど昇ってきた朝日が、ワレモコウの花に徐々に射してきたところ。これが何とも言いがたい風景に変わった。しだいに陽光が当たってくると、その花がキラキラとまるで反射するように、独特の輝きを帯びてくるのだ。それはそれは見事!その光景にいっとき見入っていた。そうしたら,たまに覚えるあの感覚、「オレは今どこにいるんだろう」という意識が襲ってきた。

 まもなくその感覚がおさまり、現実に戻る。そして日本では、野生のワレモコウというのは見たことがないことに気づいた。植物図鑑などには北海道から九州まで、山野ならどこにでもあるように書かれてある。しかし筆者は、まとまった数のこの花には出会ったことがないと思う。

 ところで,この植物は分類上はバラ科ワレモコウ属だという。で,この仲間には山野草のカライトソウなども含まれるという。恥ずかしながら知らなかった。

 日々勉学、日々弁萼。 (K.M)