(8) 新雪ウォーキング

新雪ウォーキング

 やはり冬は来たし、雪も降ってきた。
 新潟でも、夏のあの猛暑とその後の暖かい秋を経験した。だから、「今年は晩秋から一気に春になる。冬を飛び越して雪も降らない。」と仲間内では冗談のような“長期予報”を言い合っていた。しかし、当たり前だが冬は訪れ、今月には雪も降ってきた。
 その2回目の降雪の日、ウォーキングに出かけた。行き先は、ときどき利用する遊歩道である。それは川沿いに続き、歩行者と自転車しか通れない。暖かい時期なら川には魚影も濃く、鳥もよく見かける。過去に3回、カワセミも目撃している。また、冬の水面では水鳥が多く遊び、気に入ったコースである。
 その遊歩道に雪が数センチ積もっていた。それを踏みしめながら、40分ほど早足で歩く。気温が上がらないので、雪はまだ融け出さない。だから、防寒具で身を包みながらも、履物は短靴でよい。踏み跡がまだ付けられていない新雪部分を選びながら、履きなれた運動靴で歩いて行くのは心地よい。一歩一歩、雪を踏みつける靴底からキュッキュッという乾いた音が発生する。またその度に、かかとからつま先へ微妙な足裏の感触の変化が伝わってくる。これが新雪ウォーキングの楽しさである。

 ところで、自分がたどってきた今年の足跡を振り返り、来る年に思いを馳せる時期になりました。今年はこれが最後のページになります。読んで下さった皆さんにとって、平成23年が良い年になることを祈念し、筆を置きます。
年々好年、年々感謝。  (E.O)

(7) 観賞用バナナ

観賞用バナナ
 先日、植物園でたまたま咲いていたバナナの花を見てきた。「千成(せんなり)バナナ」という品種である。その名の由来は実がたくさん付くからだという。
 我々が目にして美しいと感じる多くの花とは違い、バナナの花は写真のように独特のものである。上部の開いた部分と下部のまだ閉じている薄赤みを帯びた花びらのような部分は苞である。花はその開いた上部の苞の下に顔を出している、やや黄味を帯びた数十本の突起物である。奇妙きてれつと形容すべきか。しかし、好き嫌いではなく、こうした花も存在するのだという点で、花の多様性―植物の多様性―世界の多様性を教えてくれる。

  ところで、この千成バナナの説明板にはこう記されていた・・・主に観賞用としてジャワ・マレー半島で栽培され、味は良くなく家畜の飼料などとして用いられている、と。生食用か料理用かの違いはあれ、バナナはどんな種類でも食べられると思っていたが、こうした種類もあることを初めて知り、やはりバナナ自体も多様性に富んでいると思った。けれど、干し柿の例もあるのだから、干しバナナのようにしたら美味になるのではないか。また、黄緑色の小さなバナナを竹串にでも刺し連ねて、軒下に吊るす。そんな情景はなかなか様になるのではないか。思わず、ばなな事を考えてしまった。
日々好日、日々感謝。  (E.O)

(6) シダレザクラの実?!

しだれ桜と月|シダレザクラの実?!

不思議なのだが、シダレザクラの枝に丸くて白い実がなっていた

 そんな事ないよな・・・シダレザクラに実が付くなんて?この写真、疑いを抱きながらも、最初のうちだけはこの説明でも信じてもらえるかもしれない。しかし、これはもちろん白い実などではなく、お月様である。カメラのいたずらというか、撮影技術の未熟というか、偶然こんな写真が出来上がった。ただ単に月だけを写すというのでは、それこそ月並みなので、少しは風情を感じさせるような構図を考えた。それで、組み合わせとしては月とシダレザクラに決めた。うーん、これは良いかもしれない。  しかし、撮影は暗くなってからでなければならないし、適当なシダレザクラが植わっている場所も近くには無い。だいたい冬の新潟では太陽も月も拝める日がぐっと少なくなるし・・・。  けれど、19日の晩にそうした条件がほぼ揃った。風もほとんど無い。月齢もほど良い。

 そこでカメラを携えて撮影場所に出かけた。しかし、こちらはカメラの素人。いざ撮影しようとすると、オートで何度試しても月だけは写るが枝が写らない、うーん・・・苦労したあげく結局、強制フラッシュをたき、焦点を枝に合わせたら何とか写真になった。他にも太い枝と月を写したものもあったが、この1枚に妙に惹かれた。
日々好日、日々感謝。 (E.O)

(5) 田んぼの白鳥

白鳥の飛来

 晩秋から翌年の春頃まで、新潟平野の田んぼのあちこちに白鳥たちが舞い降りる。
 群れは少ない場合なら数羽、多いと何十羽となり、水田で餌をついばんでいる姿が目撃できる。彼らは夜が明けると餌を求めて、ねぐらの湖沼から周囲の田んぼに出かけて行くのである。彼らが食餌の合い間に白い羽を広げたり、長い首を天に突き出して鳴いたり、その様子は見ていても飽きない。また、羽を広げブレーキをかけながら着地する姿も実に美しい。
 たまたま彼らに出くわして少しでも時間がある時は、農道脇に静かに車を止め、しばし眺めることもある。知り合いの鳥博士によると、彼らは落ち穂の米だけではなく、稲の根も食べるのだそうだ。
 彼らが鳴き声を交わしながら、隊形を変えながら大空を飛んで行く姿も優美である。彼らは冬の新潟平野の舞姫と言っていいかもしれない。
日々好日、日々感謝。  (E.O)

(4) スパシーバと笑顔-ハバロフスクで(その①)

ハバロフスクで(その1)-スパシーバと笑顔

 毎年秋に開催される極東ロシア=ハバロフスクの見本市に、3年前から参加している。それは特産であるアザレアなどの鉢花を持ち込み、展示即売するのである。年ごとに好評を得て、昨年の見本市では200鉢余りを売り切った。今年は昨年の完売という実績があったので、昨年の3倍以上の数を持ち込んだ。多過ぎるかなと心配したにもかかわらず、7割は販売できた。

  ところで、ロシア人の買物客の態度で気づいたことがある。お買い上げ頂いたお客様に対して、筆者たちがレジ袋に入れた鉢花を「スパシーバ(ありがとう)」と言葉を添えて笑顔で渡す。すると彼らの方も笑顔を返してくれて、「スパシーバ」と言いながら、心暖かそうな後姿で去って行く。実にこうしたお客様が多いのだ。だから、こちらもまた良い気分になる。場所や商品の違いはあれ、モノの売買の場面で心が通うというのはいいものだ。 筆者たちがそうした接客態度を示すと、中には一瞬面食らったようにキョトンとし、数秒たってから「スパシーバ」と言って笑顔を返してくれる方もいる。

 ここからは推測になるのだが、おそらくかつてのソ連時代には売り手が“売ってやる”、買い手が“買わせてもらう”という意識が普通だったのではないか。また、’90年代のソ連邦崩壊前後からの混乱で物資や食糧が不足した時代には、その傾向がさらに強まったのではないか。だから、筆者たちが示した謝辞と笑顔の接客態度はロシア人にとっては異例で、好感を持たれたのではないか。だいたい市場経済になった今でも、現地で買物をした場合、店員が笑顔や「スパシーバ」を返してくれた経験はほとんど思い出せない。  今後ロシアのサービス業では、接客法が一つの重要なカギになるのではないか。

日々好日、日々感謝。  (E.O)

(3) 胴ぶき

サザンカ

 “胴ぶき”とは樹木の幹や、枝の中間から新しく出てきた(吹いてきた)芽、あるいはそうした状態をさす。胴とは幹の意味であり、ぶきは吹きであろう。
 先日の朝、歯磨きをしながら何気なく窓の外に目をやると、今年もサザンカの幹の中ほどに“胴ぶき”を発見した。1年に1ヶ所くらいは発見するが、それを見ると思わず「やった!」「がんばれよ!」などと声をかけてしまう。そして、「今日も良い日になりそうだ」と思わせられる。やはり植物のもつ生命力に改めて感心してしまうのだ。時には、元気づけられることさえある。
 今回はちょうど枝が乏しい部分に生えてきた。これが成長して一人前の枝になり、やがてピンクの八重の花を咲かせることだろう。
日々好日、日々感謝。  (E.O)

(2) 甲斐駒ケ岳

駒ケ岳

 最近、山梨県の北杜市を訪ねた。そこで初めて、一度は拝みたかった名山=甲斐駒ケ岳を望むことができた。通称「甲斐駒」は標高2,967mで、全国に14ある“駒ケ岳”のうちで最も高い。南北にやや低い山々を従え、一段高くそびえるその姿は秀峰と呼ぶにふさわしい。もちろん日本百名山にも数えられている。
 平地ではまだ雪が降リ出す前だったが、沢筋などには白い線状の降雪が認められた。
 体に冷気が伝わってくるが清清しい高原の朝、ひとり散歩に出かけた。人も車もほとんど通らない坂道の上で、しばらく山容を眺めていた。風はほとんどなく、聞こえるのは近くを流れる側溝の水音だけ。褐色に色づき落葉の始まったカラマツ林の奥に見えた甲斐駒は、雄々しく壮麗であった。
日々好日、日々感謝。  (E.O)

(1) 坂本龍一さんがやって来た!

坂本龍一氏

 今回からブログをスタートさせます。週に最低1度は書いていこうと思っています。タイトルは“花鳥風月…人”とし、「花」は花を含む植物に関係することを、「鳥」は鳥を含む動物に関して述べたいと思います。また、「風」では風景や風流事にも言及し、「月」はお月様から月並みな事まで書き散らし、多様な人々や人間に関する好ましい事柄を「人」で書こうと考えています。ただしテーマは順不同で、花から始まり次は鳥へ、その次は風へ進むとは限りません。順序良く連載はしません。そんな訳で、第1回は人について書きます。

 先月21日、新潟市に坂本龍一氏がやって来た。ミュージシャンとしてではなく、社団法人more treesの代表として、森林の保全やカーボンオフセット事業の実施のために、わが町の「にいつ丘陵」を訪れた。

 坂本氏は長靴・コート姿で現われ、まず地元関係者から説明を受けながら、林道を歩いた。そして、付近の山林や昔の石油掘削施設などを興味深そうに見て回る。その後、林道脇に立てられたmore treesの看板の前で、多くのメディア関係者も含む数十人の人々に囲まれた。そして、テレビカメラや写真に納まったり、インタビューにも答えていた。また、駆けつけた新潟市長さんとも話を交わしたり、関係者や来訪者たちの握手攻めにも気軽に応じた。筆者も一応関係者のひとりなので、氏と並んで写真を撮ってもらったり、握手もさせて頂く。これがピアニストの手というものなのだろうか?感触はゴツゴツしておらず、やわらかく暖かかった。氏の人柄に似ているのだろうか。一見すると線が細く寡黙そうだが、意外に気さくで分け隔てを感じさせない、その人柄に。(サービス精神からなのだろう。実は1,2分間、氏は看板の前で懐かしい意外なパフォーマンスを演じてくれた。正直ビックリした!)

今後は、あのサカモトさんがやって来た里山として、またmore treesの9番目の森として「にいつ丘陵」が語られていくことだろう。

日々好日、日々感謝。  (E.O)

※詳しいことはmore treesのホームページ等でご覧ください。