ある展示会で目に留まった植物である。風鈴ツリバナの「紅奴」と名付けられていた。この紅い実の色・形・下がり具合,枝ぶりなど、なかなか風情があった。それに落葉する直前の黄葉とのコントラストも鮮やかだった。見ていたら、何だか楽しくなってきた・・・そう、モビール装飾を連想したのだ。
何といっても実(蒴果)が大きい。ふつうのツリバナの二,三倍はあろうか。また 実の形も異なる。ツリバナの実は丸っこく、それが五つに裂ける。それに対して、この風鈴ツリバナの実は、升の四辺を押しつぶして四つの角々が尖ったようになり(これを“翼”という)、それを逆さにしたような姿なのだ。
数日後にある温室で、展示会のものよりちょっと小ぶりの「紅奴」を見つけた。こちらはオレンジ色のきれいな種子を、紅色の裂けた実からぶら下げていた。これと展示会に飾られたものとの違いは、果実の熟度である。展示品の方のそれが進んでいたのだ。だから、もう種子が下がっていなかったのだろう。
この果実の内部は四室に分かれており、一室から一個の種子が吊り下がる。その種子は果肉のような軟らかい皮に包まれている。これがオレンジ色なのだ。しかし、種子は白っぽいのだそうだ。姿・形の面白さといい、色彩の妙といい、なかなか楽しい植物なのだ。
インターネット上で検索していたら、あるマニアらしき人物がヒロハツリバナの選抜品と述べていた。しかし、出自も含めて詳細は分からないようだ。謎にも包まれている!
見ていて楽しくなる植物がもっとあっていい。 日々好日、日々感謝。 (E.O)