(515) モンゴル日記(230)

【 エグ川にて~26 】

 

 この釣り上げたタイメンは重厚感も感じさせた。各人が写真を撮っている間も、むやみに暴れ出すこともなかった。また 水中ではゆったりという風で、激しい動きはしなかった。かといって、弱っているようにも見えない。余裕だろうか?ひょっとして、いずれ放されると確信していたのかも知れない。

 さて写真左に写っている尾びれは鮮やかな赤茶色で、大きく厚くがっしりとしていた。幅は20cmはあったろうか。また、写真右は頭部である。どうもサケ科の魚の頭とは思えない。そんなに詳しいわけではないが、サケの頭というよりはライギョかナマズに近いのではなかろうか。タテ長ではなく横に広く厚い頭部なのだ。日本でこんな鮭の仲間は見たことがない。

 ただ気になったのはこの目である。ややうつろな眼(まなこ)にも見える。けれど、「ええかげんに放したらどないや?」というような、筆者たちを呆れたみたいな?目つきにも思える。結果としては、この数分後に川に帰したのだが。

 ところで 自分が釣った魚ではないが、これに関連して古い記憶を思い出した。実は、これに匹敵するような大魚を目の前で見たのは2度目である。しかし、それは釣り上げたものではなく、筆者が捕まえた魚だった。それは印象深い思い出で、詳しくは次号に記す。

日々好日、日々感謝?! 「ふん,オレはここんとこ 日々危険、日々災難やで」(タイメン)  (K.M)

(514) モンゴル日記(229)

【 エグ川にて~25 】

 

 写真左のように、釣り上げたKt君は尾びれのつけ根をしっかりつかまえ、ゆっくりと水面から持ち上げた。写真右はその胴体部分だ。「うーん,デカい!!」。

 観念したかのようにおとなしく横たわっているタイメンを、しばし眺めていた。彼(彼女?)は風格のようなものすら漂わせている。そして 横目で筆者を睨みながら、こう呟いているようだった。「同情なんていらねえよ!オレの失態だわさ。それにお前らが喋ってるのを聞いてると、オレを釣った奴ぁー,外国が初めての人間だって言うじゃねえか。そんな異国の若造に引っかかるなんて、オレも焼きが回ったもんだ。ああ情けねェ。ただ若造は日本人だっていうから、まァ幸運か」

 「なぜ,幸運かって?分かんねえのか。ほら最近まで元気のよかったモンゴルの南の国があるじゃねえか。そこの人間なんざに釣られたら最悪だったわなァ。だいたい不名誉だし、キャッチ&リリースなんて守るわけがねェ。連中すぐ食っちまうよ。オヤジ,おめえも日本人みてぇだが、何なら後学のためにオレを喰ったっていいんだぜ」

 そこで筆者はあわてながら答えた。「何を言うんですか。そんな事はしませんよ。日本は法治国家でルールを尊重する国がらです。もう少し写真を撮らせてもらったら、すぐ解放しますよ」

彼が答えた。「おっそうかい,日本人に釣られてやっぱり良かったぜ!」 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(513) モンゴル日記(228)

【 エグ川にて~24 】

 

 写真左はツアー最後の日の夜明けだ。実はこの日が忘れられない日となった。吉報は、この1時間後に目を覚ました釣り師たちからもたらされた。彼らはけさ3時頃まで粘り、ついに1m級のタイメンを釣り上げた!というのだ。わおっ!

 モンゴルの神様は日本の若き釣り師に、最後になって幸運を与えてくれた。実際に釣り上げたのはKt君だったが、彼は「それは師匠Ba先生のおかげです」という。謙虚だった。

 ところで、釣り上げたことは分かった。けれど、Ba先生は「一緒に行って確認してほしい。写真を撮ってもらいたい」と、釣りに行かなかったメンバーに頼んだ。つまり、釣ったタイメンを放してはいないらしいのだ。

 先生は続けた。「なるべく傷つかないように、木綿のヒモでつないである」。つまり、ここでは釣った魚はキャッチ&リリースが原則なのだ。が、その点は釣ったタイメンから了承をもらって?!、しばし拘束しているのだという。それで放流前に第三者から確認をしてもらうという意図らしい。もちろん 筆者とK君はワクワクしながら引き受けた。

 テントサイトから約30分。河畔林の間をぬい,沼地を越えてタイメンの繋がれている川岸にたどり着く。そして、生まれて初めてタイメンを目にした。写真右はその姿である。大きさは1mちょっとだという。

感激がじわーっと湧きあがってきた!!  本日 大好日、本日 大感激。 (K.M)

(512) モンゴル日記(227)

【 エグ川にて~23 】

 

 引きつづき釣り師Kt君のことである。彼がグレーリングという珍しい魚を釣ったのだ。左・右ともその時の写真である。

 このエグ川にはレノック,タイメン,グレーリングという3種類の魚が生息している。これは以前,述べた。その中ではレノックが最もよく釣れる。筆者もT氏も、釣り上げたのは全てレノック。またタイメンは釣るのが難しいものの、それなりの仕掛けをすれば、場合によっては釣れる。けれど、グレーリングはめったに掛からないらしい。

 さて 彼は相変わらず釣果を上げていた。が、やはりレノックばかり。ところが 偶然グレーリングが掛かったのだ。そのとき彼は当りにすばやく反応し、糸を引き寄せた。「グレーリングかも知れませんね!」。彼は写真左のように、慎重に獲物を寄せた。それは予想どおりグレーリングだった。「おおーっ,だけど小さいね」と、筆者は何気なく口走ってしまった。

 「大きさはともかく、これは色が出ていないですね」。彼によれば、このグレーリングは体に赤やピンクの色が表れ、背びれも立派だという。でも このグレーリングはそうではなかった。時期などが関係するのだろうか。

 「レノックより華奢だから、すぐ逃がしましょう」と、彼は筆者が右の写真1枚しか撮っていないのに川に放流した。

彼はこの日の晩 下流に出かけ、とうとう夜中にタイメンを釣り上げた! 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(511) モンゴル日記(226)

【 エグ川にて~22 】

 

 この2枚の写真も,次の号の写真も、Kt君のフライ・フィッシングのようすである。写真左はタフト川との合流点付近で、川幅のひろーい場所だ。これくらいならばモンゴルでは大河かも知れない。

 釣りをせずとも、この辺の浅瀬で足を水につけているだけでも気持ちがいい。ゆるやかな川風が吹いて来るし、周囲の眺めもよい。前号のように足もとを幼魚も通って行く。と,上流では夜釣りに備えてか、Kt君が練習がてら?!、しばし美技を披露していた。だいたいフライ・フィッシングをこれまで知らず、恥ずかしながら今回初めて実演を見た。

 巧みな竿づかいも見せながら、釣り糸を空中で弧を描くようにして、フライを目的の場所に落とす。すると,ほどなく魚が食いつき、写真右のような釣果となる。この釣った魚はレノックだが、筆者が撮影をするとすぐ川に戻す。投げる,釣り上げる,針を外す,逃がす。この繰り返しだった。大物はなかったが、とにかく彼はよく釣った。しかし、全部このようにレノックだった。

 実は、この妙技を見る前に筆者はT氏などの勧めもあって、この後半の釣り場で1時間ほど竿を握った。しかし、結局は一匹も喰いつかなかった。それで気分転換も兼ね、川べりを散歩し出した。そこで上流にいた彼に出会ったのた。

彼に刺激を受けて再び釣り糸を垂らしてみたが、結局 釣果は0だった。 でも 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(510) モンゴル日記(225)

【 エグ川にて~21 】

 

 魚影が濃い!とはこういうことを指すのだろうか。浅瀬に足を入れて立っていると、たくさんの幼魚がそばを行き来する。とくに写真右は彼らを横から撮影したもので、体の縦じまやエラのところの白い斑点が鮮明に見える。

 筆者も少年時代にはだいぶ川釣りをしたことがある。しかし、こんな体験はしたことがなかった。もっとも これほど透きとおった清流での釣りは、ほとんど機会がなかったが。それはともかく、足もと近くをこうして幼魚の群れが筆者を怖がらずに通って行く。こんな経験はなかった。

 とは言え、魚種は分からない。が、写真右の魚は1種類のようだ。しかし写真左には2種類の魚が写っているように思われるが?数が多いのはたぶんレノックなのだろう。しかしタイメンや、はたまたグレーリングの幼魚も混じっているかも知れない。

 ところで このエグ川、どこまで行っているのだろうか。博識の親友B氏に尋ねた。最終的にはバイカル湖に注いでいるという。国境を越えて美しい湖に注ぐなんて、やはり雄大なのだ。

 さて この日も3人の釣り師たちは早や夕飯を食べ、夜釣りに出かけた。明日は帰り支度をして、ウランバートルに戻らねばならない。しかし、夜中にドラマが待ち受けていた!それについては(513)号から記述したいと思う。

インターネット検索で「モンゴル エグ川」で探すと、すぐに出てきた。日々好日、日々感謝。 (K.M)