毎年秋に開催される極東ロシア=ハバロフスクの見本市に、3年前から参加している。それは特産であるアザレアなどの鉢花を持ち込み、展示即売するのである。年ごとに好評を得て、昨年の見本市では200鉢余りを売り切った。今年は昨年の完売という実績があったので、昨年の3倍以上の数を持ち込んだ。多過ぎるかなと心配したにもかかわらず、7割は販売できた。
ところで、ロシア人の買物客の態度で気づいたことがある。お買い上げ頂いたお客様に対して、筆者たちがレジ袋に入れた鉢花を「スパシーバ(ありがとう)」と言葉を添えて笑顔で渡す。すると彼らの方も笑顔を返してくれて、「スパシーバ」と言いながら、心暖かそうな後姿で去って行く。実にこうしたお客様が多いのだ。だから、こちらもまた良い気分になる。場所や商品の違いはあれ、モノの売買の場面で心が通うというのはいいものだ。 筆者たちがそうした接客態度を示すと、中には一瞬面食らったようにキョトンとし、数秒たってから「スパシーバ」と言って笑顔を返してくれる方もいる。
ここからは推測になるのだが、おそらくかつてのソ連時代には売り手が“売ってやる”、買い手が“買わせてもらう”という意識が普通だったのではないか。また、’90年代のソ連邦崩壊前後からの混乱で物資や食糧が不足した時代には、その傾向がさらに強まったのではないか。だから、筆者たちが示した謝辞と笑顔の接客態度はロシア人にとっては異例で、好感を持たれたのではないか。だいたい市場経済になった今でも、現地で買物をした場合、店員が笑顔や「スパシーバ」を返してくれた経験はほとんど思い出せない。 今後ロシアのサービス業では、接客法が一つの重要なカギになるのではないか。
日々好日、日々感謝。 (E.O)
