(529) モンゴル日記(244)

【 今年の春 ⑥ 】

 

 写真左は日本からの植物第二弾である。それがチンギスハーン空港の税関エリアに到着した。写真はその時のようすだ。これらの荷物の受取りを、現地社員のT嬢が一人でやってのける。これがそう簡単ではないのだが・・・。諸々の複雑な手続きと支払いを終えたうえで、やっと荷物を受け取ることができる。場合によっては3~4時間かかる時もある。

 けれど,彼女はこの一連の業務を、2度目からひとりでやっている。最初のときだけパートナーの会社のベテラン事務員さんに同行してもらい、荷受けをした。そのたった1回でマスターしたようだ。今は優秀な社員だと感謝している。

 ところで,もらい受けた荷物は箱数にして13個。中身は4種類で、ボケ,クルメツツジ,アザレア,ツクモヒバである。この中でもチューリップのあとに販売する商品として、ボケは毎年この時期に日本から輸入している。「ボンサイ,ボケ ボケ,ボンサイ」と言いながら、筆者も何度か店頭に立ったこともある。ボケはおかげ様でこれまでは良く売れてきた。

 写真右は税関で受け取った植物を農場の冬温室に搬入し、植え終えたところである。正面に見える緑色の小さい植物はツクモヒバだ。これは今回,試験的に輸入してみた。モンゴルのお客さんがどんな反応を示すか、これを見てみたいのだ。

ともあれ,今年フジガーデンはどんな売れ行きを示すだろうか?日々好日、日々感謝。 (K.M)

(528) モンゴル日記(243)

【 今年の春 ⑤ 】

 

 左・右の写真とも婦人デー当日のようすだ。左はショップ、右は特設売り場である。ショップではチューリップの赤・白品種「リーファンダーマーク」の手前に、真っ赤な花色の「レッドパワー」も店頭に置かれはじめた。

 うちの合弁会社がポット植えチューリップの販売をしたのは、どうやらウランバートルでは初の試みだったようだ。つまりモンゴルで初めてということ。それまでチューリップといえば、切り花しか販売されていなかった。ウランバートルを初訪問した2009年頃には、花屋にも当時のこのガーデンセンターにも、ポット植え・鉢植えのチューリップは無かった。

 そもそも,うちの社員T嬢が「ポット植えチューリップも素敵ですね」と、ひとこと口にしたのがヒントになった。だから,あちらでチューリップ栽培を始めたときから、切り花向けとポット向けに分けてスタートした。それでポット植えのチューリップは今や、当社の春の目玉商品のひとつとなっている。切り花向けのものは止めてはいないが、ここ2,3年は少なくしている。

 写真右は昼ころの人の少ない時に、こうして二人で来てくれたお客さんだ。こうした光景は個人的には好きなシーンである。なぜなら,花を介してコミュニケーションを深める。心の通い合いに、花が役に立っているような気がするからだ。

国は違っても花は人と人との心をつないでくれる。日々好日、日々感謝。 (K.M)

(527) モンゴル日記(242)

【 今年の春 ④ 】

 

 写真左は毎年 婦人デーが近づくと、合弁会社のショップのあるガーデンセンター横に表示する看板だ。IFFMはインターナショナル・フラワー・フェスティバル・イン・モンゴリアだという。このことは以前、オーナーのD社長に確かめたことがある。この表示板をガーデンセンターの幹線道路側に、デカデカと張り出すのだ。高さが10m近くはあるだろうから、これがなかなか目立つ。

 なぜインターナショナルかというと、ちょっと説明が必要だろう。つまり,前回述べた特設売り場には、毎年モンゴル以外からの出店者が参加するからだ。たしかにこれまで多い時は3,4社が出たこともある中国や、筆者のような日本からの出店者。またここ数年は、あの北朝鮮の出店が去年まで続いていた。今年は出店したかどうかは、分からないが。

 その北朝鮮の出店ブースは去年、だいぶ賑わっていたようだった。売り物は例の「金日成花(キム・ジョンイルばな)」である。赤い球根ベゴニアの一種で、名の知られた日本の園芸家が作出したとも言われる品種である。その花で去年はだいぶ稼いだのを筆者も目撃している。

 ところで写真右は、3月8日の婦人デー前日のうちのショップのようすである。常にこれくらいのお客さんが来てくれれば、うれしいのだが・・・。

ところで北朝鮮では,「金日成花(キム・イルソンばな)」というランもあるらしい。日々好日、日々感謝。 (M.K)

(526) モンゴル日記(241)

【 今年の春 ③ 】

 

 写真左は婦人デー向けの特設売り場だ。毎年ガーデンセンターの中ほどに開設される。昨年までは、わがフジガーデンを含む10社前後が出店していた。が、今年はようすが違った。出たのは数社だったらしい。(今年,筆者はこの時期に向こうに行っていないので、詳細が分からない。)

 だいたいガーデンセンターの社長D氏、つまりわが合弁会社のパートナーが、はじめのうち今年はこの特設売り場を作らないと言っていた。けれどギリギリになって、やはり実施する,と考えをひるがえした。それでようやく開設の運びとなった。

 そんな事情の最大の理由は、不景気で花が売れないことだ。その原因はやはり中国経済の不振である。そのことがモンゴル経済にも大きな影を落としているようだ。そもそもモンゴルの輸出先は70%以上が中国だという。この国の対中国向け輸出品としては石炭・銅などの鉱物資源があげられる。それらを調子の悪くなった中国の産業界が引き受けられないのだ。兆候は昨年からあった。端的だったのは、うちのショップの販売額である。去年の夏から売り上げがズズーッと落ちてきた。

 写真右はショップの売り棚のようすである。こちらには業務用冷蔵庫がないので、チューリップは開花にストップを掛けることができない。それで,とにかく色が出たものは並べるようにした。

いろんな工夫をして乗りきろう。 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(525) モンゴル日記(240)

【 今年の春 ② 】

 

 3月8日の婦人デー前々日のフジガーデンの様子である。開店前の店内風景だ。以前にも書いたが、婦人デーというのは国の祝日で、多くの旧社会主義国で定着している。この日、男性がお世話になっている女性に花をプレゼントする習慣があるのだ。つまりダンナが嫁はんに、若い男性はガールフレンドに、あるいは息子が母親に花を贈る。最近のウランバートルでは、職場においてふつうの出来事になっている。つまり会社の男性たちが、その女性たちに花を贈るのだ。

 写真左はヒヤシンスとチューリップである。チューリップは「リーファンダーマーク」という品種。この赤・白という花色だと、モンゴルの人たちはまあ喜ぶようだ。クッキリ,ハッキリしているからだ。

 モンゴルの人たちは概して中間色は好まない。薄いピンクとか,クリーム色とかは受けない。また花形でいうと、6弁のチューリップ・チューリップしたものはいい。けれど、パーロット系などはほとんど売れない。これは既に経験済み。また,フリンジ系などもあまり好まれないだろう。ただし八重咲きは花色によってだが、そこそこ売れるように感じる。

 さて写真右はムスカリである。昨年,販売実験をしてみたが、もっとも代表的なムスカリ・アルメニアカムしか売れなかった。それで今年はそれしか置かなかった。

先例がないので、やはり試してみるしかない。でも 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(524) モンゴル日記(239)

【 今年の春 ① 】

 

 

 エグ川関係の記述は先回で終わります。この号からは今年(2016年)の話題に切り替えます。

 さて写真左はモンゴルに輸出して、あちらで植え込んだ球根が目を出しはじめた場面である。手前がヒヤシンス,奥がチューリップだ。場所はパートナーの農場の越冬温室のなか。撮影日は2月22日である。

 -40℃になることもあるウランバートルの真冬でも、ここは0℃を下まわらない唯一の栽培施設である。本来ならばわがフジガーデンの自前温室で育てたかったのだが・・・。というのは,わが温室に暖房を入れると、暖房費が発生する。それが1月から5月までの5ヶ月間だと、日本円で十数万という金額に達する。だから,わがパートナーのD社長の考えで、今回はフジガーデンの温室は利用しないで、ここにした。

 しかし、この温室の最大の問題点はやはり気温だった。室温が25℃以上にも達するのだ。最低気温は3℃くらいだから、良しとしよう。しかし最高気温は、できれば15℃以下には保ちたい。しかし昼間は晴れの日が多い土地だから、窓を少しくらい開けておいても簡単に25℃以上にはなってしまう。それで今回は昼間、開けられる窓はぜんぶ開けっ放しにした。

 その結果、一応 写真右のような商品とはなった。2月末にオープンしたショップの棚に、とりあえず並べることはできたのだが・・・。

いろいろ起きるけれど 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(522) モンゴル日記(237)

【 エグ川にて~33 】

 

 この花も印象深いものだった。あの青いオキナグサ(505号で紹介済み)の次に、記憶に残る植物となった。優雅だけれど,派手さも持った花である。これがラン科植物である点も、忘れがたい理由かも知れない。

 とは言え,発見したきっかけはあまり優雅な話ではない。というのは、筆者は毎朝 誰よりも早く起き出し、少し薄暗いなかで朝のおつとめを果たしに出かけていた。つまりキャンプサイトからだいぶ離れた草原に、毎朝,野糞に行っていたのだ。そこで目にとまり、出会った花なのだ。草原でズボンを下げてしゃがみ、「ウーン!」と力む。と,すぐ近くにこの花が何本か立ち上がっていたこともある。ランに囲まれてフンをするのも悪いものではない。フンとランの出会いである?!

 これらはやや湿った草地の所々で、長い花穂を伸ばしていた。遠くから眺めていると、一見ヒヤシンスにも似た花が首を出しているのだ。赤い花の総状花序で、草丈は30cmくらいだったろうか。

 日本に戻ってから、わが植物の師匠O先生にお聞きした。その結果、日本でいうとハクサンチドリに近い種ではないか、と言われた。今回のツアーではじめて出会ったラン科植物である。日本のハクサンチドリはもう少し紫色が強いように思う。それに日本では高山植物の扱いをされているようだ。

ラン科植物はやはり独特な雰囲気を持っていて 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(521) モンゴル日記(236)

【 エグ川にて~32 】

 

 写真左はイリスの仲間だ。後半のキャンプサイト周辺の草原で、あちこちに見られた。独特の姿なのですぐ分かる。ただ,ちょうど花が咲いている個体が、探しても見つからなかった。写真のイリスは咲き終ってまもない株で、その花色は黄色のように思われた。

 ところでモンゴルの文献では,イリスの仲間は7種類ほどが挙げられている。みな背丈が高くなく、紫,青,黄といった花色がある。その文献には、これらイリス類はいずれも薬用植物として記載されている。そして、それら全てがモンゴル伝統薬として書かれていた。山羊の油と混ぜて使われるらしい。伝染病,打撲傷,やけど等に効くという。

 一方,写真右は日本のカラマツソウの仲間である。山野草を知っている人なら、だいたい判断するようだ。これも群落は見られなかったが、草原のあちこちに生えていた。

 ところで,モンゴルの人の話ではこの時期,もっと花が咲き乱れるという。しかし,この年(2015年)は長期にわたる雨不足で、花だけではなく植物全般に異常が起きつつあるらしかった。家畜のエサとなる草などは例年ならこの時期、大いに生育する。しかし雨不足によって草が伸びず、その影響で家畜が順調に太れないほどだという。最近その事を政府も心配しているというニュースが報道されたらしい。

幸いなことに,この1週間後くらいに十分な降雨があった。日々好日、日々感謝。 (K.M)

(507) モンゴル日記(222)

【 エグ川にて~18 】

 

 後半の宿泊地は広大な草原の角地だった。写真左は、以前にも紹介したセンダイハギの仲間と思われる植物である。この草原の西側では、これがズーッと大群落を形成していた。それは面積にすると、数千㎡はあっただろう。いや,それ以上かも知れない。花々はピークを過ぎていたが、見事だった。

 写真右は、そのセンダイハギの大群落の向こうで、羊が草を食んでいる場面だ。モンゴルの草原らしい、おなじみの風景である。文字どおり牧歌的というか・・・。この写真を見ているだけでも、心がゆったり,ほっこりしてくる。

 しかし 筆者なりに気づいたことは、羊たちがこれだけ大量の草を食べずに残している理由である。以前にも述べたことがあるが、これは彼らにとって毒草かも知れない、ということだ。それで念のために調べてみた。

 案の定だった。マメ科のこのセンダイハギ属やエニシダ属の植物は、シチシンというアルカロイドを持つという。それは有毒物質で、牛などは絶対食べないらしい。けれども 羊や山羊は体内の独自の作用で、食べても毒には当たらないといった記述も見受けたが・・・。

 この写真で見ると、羊たちは端っこからこのセンダイハギを食べはじめたのだろうか。それとも端っこの別の野草を食べているのだろうか、どっちだろう?

さて、このシチシンは医学的には禁煙療法に使われているらしい。日々禁煙、とっくに禁煙。 (K.M)

(505) モンゴル日記(220)

【 エグ川にて~16 】

 

 この野草も河原で見つけた。そして この花こそが今回のツアーで、筆者にとってはいちばん魅力的で印象深い花となった。結論から言うと、この植物はキンポウゲ科のオキナグサの仲間である。属名はPulsatilla。

 この1本だけだったが、炎熱のなかでキリっと立っていた。釣り人たちが引き上げて来るのを待つ間、昼食も済まして時間ができた。それじゃあ植物観察!ということで、河原の地面を舐めるようにして歩きまわった。だから発見できたのだろう。ウッカリしていたら、この花色が辺りにゴロゴロしている青石に紛れて見逃すところだった。

 花は一輪だけだったが、魅入られるような暗青色だった。日本のオキナグサは花色が暗い赤紫なのだが、これは違う。また日本種は花が下向きになるが、これはそうではなくやや上向きなのだ。

 モンゴルでは今まで、この花を一度も見たことがなかった。けれど、これをきっかけに関係資料に広くあたってみた。その結果、モンゴルにはこのオキナグサの仲間が数種類あるらしい。それゆえ花色もいろいろあるようだ。さらに薬用植物としても用いられているとのこと。念のため帰国してから、わが植物の師匠O先生にお尋ねした。筆者のオキナグサという推測は外れてはいなかった。モンゴル北部で素晴らしい花に出会えたのだ!!

結果的には、長引いた試し釣りで時間をつくってくれた釣り人たちに感謝。 (K.M)