(26) 月のアムール川-ハバロフスクで(その②)

月浮かぶアムール川-ハバロフスクで

 アムール川の上にかかった半月・・・昨年9月の写真である。

 異国の地で月を眺めるのも悪くはない。目の前には雄大な川の流れがあり、遠い対岸には中国領の低い山並みが望める。少し不思議な時間と空間の感覚に包まれた。

 アムール川は大河である。支流を含めた全長は世界で8番目という。ところで、ハバロフスクの人々はこのアムール川とうまく付き合っている。川を様々に利用すると同時に、川に親しんでもいる。舟運が発達し、人や物資を積んだ船が行き来する。ちょっと驚いたのだが、水中翼船も疾走する。また所々に船着き場があり、水上バスの船が通勤客を乗せて行く。

 一方、ハバロフスク市民はアムール川を楽しんでもいる。川沿いには園路が整備され、そこを多くの人々が散歩する。また、寒くない時期には泳ぎを含め、水遊びする人も多い。そうした人たちを当てにして、川岸には簡易レストランのテントが連なる。また、釣り人も少なくない。

 けれど、このアムール川が2005年に大きな汚染に見舞われた。かの国で起きた化学工場の爆発事故で、アムール川上流部(松花江)に有毒化合物が流れ出したのだ。そして、下流地域に深刻な影響をもたらした。それが原因で、現在も釣った魚は食べられないという。どういう事情であれ、かの国の環境意識には大きな疑問を抱かざるを得ない。(※と、ここまでの文章は3月11日以前に既に書き終わっていたのだが・・・。)

 しかし翻って3月11日以降、わが国で環境意識について、こんな風に割り切って語れなくなった。なぜなら、福島第一原発の現状が報道されるたびに、深刻度が比べ物にならないくらい環境への悪影響を考えざるを得ないからだ。

「日々好日・日々感謝」と、とても言えない時がまだまだ続くようだ・・・。  (E.O)