すでに夕刻。茶褐色の大地がしだいに近づく。飛行機は徐々に高度を下げ、チンギスハーン空港に向け着陸体勢に入った。なだらかな山々と広々とした草原。わずかだが、小さな雪というより氷雪が、白い点や筋になって残っている所もある。
今回で4度目のモンゴル訪問となる。こうした眼下の風景に触れると、頭と身体のスイッチが切り替わり、モンゴル・モードになっていくような気がする。
モンゴルを最初に訪ねたのは、2009年の3月上旬だった。ウランバートルでは、夜になれば-10℃前後にまで下がる頃である。夕方屋外にいようものなら、足元から這い上がってくる寒さを感じた。
実はこの時期モンゴルを訪ねたのは、8日の「婦人デー」の花の売行きをこの眼で確かめるためだった。しかし、初めて同地を訪れるシーズンとしては相応しくなかった。それだけではない。2日目に盗難に会ってしまった。パスポートから帰りの航空券、デジカメ、それに大切な電子手帳までカバンごと失ってしまった。それに気づいた時には、正直のところ大変な国に来てしまったと思った。筆者にとって、モンゴル訪問のスタートは悪かったのである。
しかし、その後の盗難証明書交付、帰国手続き、航空券の再発行など、日本大使館やモンゴル航空など関係の方々のご好意や手際の良さで助かった。とりわけ、同行してくれたモンゴル人B氏の懸命な尽力には、こちらがむしろを胸を打たれた。彼は「こんな事はモンゴル人の恥だ!」と言って、またたく間に警察署から大使館、街の写真屋から入国管理局、それに翻訳屋まで次から次へと筆者を連れて回ってくれた。彼には本当に感謝している。今や彼は大事な友人の一人である。もしかしたら、この事件がモンゴルに惹かれていったきっかけになったのかもしれない。
筆者は今月9日から昨日までモンゴルに渡っていた。その時のことを何回かに分けて記したいと思う。
モンゴルでも日々好日、日々感謝。 (E.O)
