(43) 走る犬

走る猫

 闇のなかで立ち上がり、右方向に走る犬の姿である。マラソンでもしているのだろうか。

 そう言われれば、そう見えなくもない。西洋の画家が描いたもので、こんな風な絵画かエッチングがあったような気もする。 

 実はこれ、夜の田んぼの水面に映った三日月・・・のはずだった。ところが、水面にさざ波が立ってきたところで撮影してしまったもので、こんな写真になってしまった。悲しいかな、やはりデジカメの操作もろくに知らない素人カメラマンの腕である。

 田は薄暗かったけれど、田植えが終わったばかりで、早苗が整然と植わっていた。その水面に映った三日月には、しみじみとした風情があった。悪くない写真が撮れるのではないか。いいシャッターチャンスだ!・・・と思った。ところが、にわかに強風である。風は撮影する前からなのだが、急に強まった。しばらく静まるのを待っていたのだが、いつまで経ってもおさまらない。かえって大風になってきた。

 しょうがない。お月様が犬になってしまい、望んでいたような映像ではない。しかし、これはこれで面白みや詩情が多少は感じられるんではないかなァ。

今夜も 日々好日、日々感謝。 (E.O)