(52) シャガの花

シャガの花

 薄暗いなかでシャガの花を目にすると、何故かホッとする。咲いていた場所は前に述べたことがある“やま”である。傍らに落ちている赤い花はツバキだ。

 シャガの花は白い地に紫や橙や青も入る微妙な色合いと、複雑な花弁の模様を持っている。また花組みもアヤメ属なので、単純ではない。なかなか形容しがたい。因みに参考文献で、この花の説明を覗いてみた。長いとは予想していたが、以下の文献では150字にも達していた。

 「・・・花は径5cm内外でほぼ白色。外花被片は倒卵形で縁には細歯牙がいちじるしく、中脈に沿って黄橙色の斑紋があり、とさか状の突起となり、さらにそのまわりに青紫色の斑点がある。内花被片はやや小型で長楕円形、先が浅く2裂し、烈片の先は糸状に切れる。花柱分枝の先も2裂し、烈片は淡紫色を帯び、さらに細かく裂ける。・・・」(平凡社 『日本の野生植物 草本Ⅰ』)

 その的確な学術的記述に感心しながらも、これを文学的表現ならどう書き表すのだろうか、と思わず考えてしまった。

 ひっそりと咲き、つつましく派手さはないが、味わい深い花である。そのためか、茶花として飾られることもある。なお、古く中国から渡来して日本で野生化したのではないかという説もあるが、学名はIris japonicaである。

地味な花でも一輪あれば 日々好日、日々感謝。 (E.O)

(51) 圃場に現われたキジ

圃場に現われたキジ

 写真のほぼ中央にキジの雄が写っている。黒いシートの上にいるので、少し分かりにくいかも知れない。某社の温室の近くに現われた。

 キジは番いだったようで、筆者が温室から出たところ、突然パパパッと二羽が逃げ出した。雌はすぐさま、鉢植えが集中している場所に身を隠した。一方、雄はこのように筆者が撮影できるほど、比較的ゆっくりした歩調で畑の方に逃げて行った。しかし、その中ほどから先へは進まなかった。ひょっとしてパートナーの雌が心配だったのかもしれない。

 どういう訳か、この鳥にはこれまであまり関心を持たなかった。それに筆者には全く変な偏見があった。つまり、黍団子ほしさに桃太郎なんかに付いていって、主体性のない奴だ。それにあの鳴き声である。色気も情緒も感じられない・・・。

 ところがである。今回いろいろとキジについて調べていったら、しだいに興味を引かれるようになった。さらにはその身の上を知れば知るほど、気の毒な気がしてきた。憐憫の情すら湧いてきた。それは国鳥に指定されていながら、食材にもなっているということ。また、狩猟の対象にもされ、毎年多くのキジが放鳥されているということ。

 国鳥ならば諸般の事情があるにせよ、トキでも良いではないか。事もあろうに、国鳥を食ったり撃ったりするとは・・・。フランスは鶏を国鳥に決めているらしいが、あの国はあの国。

 今回キジについて認識が大きく変わった。こうした事を知ってから、‘ケーンケーン’というあの鳴き声は、そのことを訴える悲鳴にも聞こえてきた。

キジには申し訳ないが、人間にとって 日々好日、日々感謝。 (E.O) 

(50) 強烈なシャクヤク

強烈なシャクヤク

 花色は濃い赤で、豪華な千重咲きである。それだけでも派手だが、それ以上に人目を惹くのは花の大きさである。言わば半球形の巨大輪で、思わず寸法を測りたくなった。何と直径17cm,高さは15cmもあった!

 数日前に事務所のカウンターの上に置かれ、一昨日(5月30日)からもう満開である。いわゆるアメリカ・シャクヤクで、品種名は“ヘンリー・ボックストーク”という。この花を作出したアメリカ人育種家の名前をそっくり付けたものだという。彼は20世紀前半からヨーロッパのシャクヤクを中心に交配を重ね、花色の派手な品種を生み出すことを狙ったのだそうだ。

 驚いたことに彼は、第二次大戦のさなかでも交配育種を止めなかったらしい。そして、この花が作り出されたのが1950年代だという。だから、古い品種に属する。この外にも、彼によって生み出されたボックストークという名を冠した品種が幾つかあるという。

 日本では「立てば芍薬 座れば牡丹・・・」などと言われるが、このシャクヤクは草丈こそ1m程に達するけれど、少し行儀が悪い。すっくとは立ち上がらず、あちこちの方向に伸びていくようだ。

 おそらく日本人の好みという点からして、国内ではこうした方向には今後も品種改良がなされないと思う。けれど、強烈で個性的な花を持った、存在感のあるシャクヤクである。一見の価値はあると思う。

 ところで、今回がブログ連載(50)号にあたる。それに合わせて、区切りの良い6月1日公開を目指した。その上、この“ヘンリー・ボックストーク”にはまさに大きな花を添えてもらった。

大きな花でも 日々好日、日々感謝。 (E.O)