薄暗いなかでシャガの花を目にすると、何故かホッとする。咲いていた場所は前に述べたことがある“やま”である。傍らに落ちている赤い花はツバキだ。
シャガの花は白い地に紫や橙や青も入る微妙な色合いと、複雑な花弁の模様を持っている。また花組みもアヤメ属なので、単純ではない。なかなか形容しがたい。因みに参考文献で、この花の説明を覗いてみた。長いとは予想していたが、以下の文献では150字にも達していた。
「・・・花は径5cm内外でほぼ白色。外花被片は倒卵形で縁には細歯牙がいちじるしく、中脈に沿って黄橙色の斑紋があり、とさか状の突起となり、さらにそのまわりに青紫色の斑点がある。内花被片はやや小型で長楕円形、先が浅く2裂し、烈片の先は糸状に切れる。花柱分枝の先も2裂し、烈片は淡紫色を帯び、さらに細かく裂ける。・・・」(平凡社 『日本の野生植物 草本Ⅰ』)
その的確な学術的記述に感心しながらも、これを文学的表現ならどう書き表すのだろうか、と思わず考えてしまった。
ひっそりと咲き、つつましく派手さはないが、味わい深い花である。そのためか、茶花として飾られることもある。なお、古く中国から渡来して日本で野生化したのではないかという説もあるが、学名はIris japonicaである。
地味な花でも一輪あれば 日々好日、日々感謝。 (E.O)


