釣り人よりも、まず対岸の白樺林に注目してほしい。こんなに眩しい銀色の樹林を、今まで見たことがない。幹から枝の先まで、付いた霧氷がまだ融けずに、朝日を受けて光り輝いていたのだ。
一方、筆者たちの釣果は光り輝かなかった。結論から言うと、この午前の釣りは三人ともボウズに終わった。
写真左側で釣り糸を垂らしている人が、師匠ゴンゴル氏だ。前夜 到着したばかりの夜釣りで、あの第1号のマスをあげた名人である。かつてテレビ番組に出演していたとのこと。釣りと魚料理の名人として登場し、人気を博していたという。
そのような釣り名人に指導を受けたのに、筆者は一匹も釣れなかった。そのせいか、写真右手の筆者の後姿が心なしか侘しい。
師匠は、朝食前から筆者とBさんを川に連れ出した。そして、釣り場所を移動しながら、リール竿の扱い方を教えてくれた。どうも筆者は最初のうち竿の扱いが良くなかったようで、何度も指導を受けた。
けれど、先生は後半になると「良くなって来た。」と、弟子をおだててくれた。それでも依然として、魚はかかって来なかった。けれど途中2回、筆者の餌の小魚が下半分をかじられた状態を見て、「これはイトウの食い方だ。」と、うれしい事をおっしゃった。
今回のグループの中には、この川でイトウを一日で8匹も釣った猛者がいたらしい。あの開高健が『フィッシュオン』で述べていた、あの幻の淡水魚である。それを耳にして、素人の日本人がまぐれでイトウを釣り上げたならカッコイイだろうなあ、と密かに夢想していたのだが・・・。
午前中は一匹も釣れなかったが、素晴らしい景色に出会い 日々好日、日々感謝。 (E.O)