可愛らしい白い花が、密生した葉の間から顔を出している。マイヅルソウである。
ハート形をしたその葉はやや照葉で美しい。草丈は15cmほどで、花の大きさは数ミリだろうか。開花前は丸っこい小さな蕾をしている。開くと花弁は4枚だが、細部は虫メガネで見ないと分からないほどだ。4枚の花弁というのはユリ科植物では異例だという。その花弁は開花が進んでくると、後に反り返ってくる。そして 秋には赤い実を付け、しだいに茶色っぽくなり、年内に落下する。
以前紹介した栽培名人のKさんが、今から10年前にポット苗4株を浅鉢に植え込んだのだそうだ。それがしっかりと根付いて、今ではこんな大株に生長した。それで今回、久々に植替えをすることを思い立ったという。たまたま その場にお邪魔した。今年はいつになく花の付きが良いらしい。
地下茎がネットのように密にまわって、実にたくましい。根鉢がくずれない。可憐や清楚といった形容を連想させる植物だが、こうした力強さも備えているところが面白い。
ところで、マイヅルソウのMaianthemum(マイアンテムム)という属名は、風変わりな名前だと思った。しかし、ラテン語のMaius(5月)とanthemon(花)が組み合わされたもので、5月の花という意味らしい。いたって正当な意味だった。
和名についてはマイヅルソウは舞鶴草であり、その由来は葉脈の曲がり方が鶴の羽に似るからという。これはかの牧野富太郎氏の説である。異説もある。
名前には優雅さ、花には可憐さが表れて 日々好日、日々感謝。 (E.O)

