【 農場にて 】
写真の風景には見入った。その場に立ちつくした。それはほんとうに美しく、発する言葉は「おおっ!」だけ。そして、静かな感動がやってきた。
50haの広さをもつこのバヤン・チャンドマン農場。ウランバートルから車で2時間ほどの地だ。パートナーのソヨーチ社が所有し、樹木の養成や試験栽培の場として使っている。その夏の夜にはたいてい、こうした情景に出会える。もう2回は経験した。
写真左の月は、上弦の月が少し進んだくらいだろうか。ときどき書いていることだが、モンゴルで見上げる月はいつも美しく味わいがある。この時もそうだった。天地に、一幅の巨大な水墨画が描かれたようだった。
時刻は現地時間で21時半過ぎ。カメラの記録を見ると、左の月は21時35分、右の日没風景は21時38分となっていた。つまり、昇った月と日の入りがほぼ同時に見ることができる。そこに贅沢な時間が流れるのだ。
写真右には、ゲルなどがうっすらと見える。遠くには、低い山並みがシルエットになっていた。日が没した直後である。こうした場に居合わせると、体が透きとおっていく。そして 意識がしぜんに旋回し、悠久…地球…宇宙、しまいには『神』にまでさかのぼって行く。こうした格別の風景に出会えるのも、モンゴルの草原の魅力だろう。
寒くなってきた。さあ,ゲルに戻ってウォッカを酌み交わそう。日々好日、日々感謝。 (K.M)

