(448) モンゴル日記(163)

【 植物到着! 】

 

 3月2日のことだ。ウランバートルのチンギスハーン国際空港に荷物が到着した。新潟からの植物である。場所を正確に言うなら、空港に隣接する税関関係事務所だ。到着した航空貨物はすべて、まずこここに置かれる。そして、荷受人はここで荷物を受けとる。

 けれど、そのためには煩わしい手続きを経なければならない。何種類もの書類の提出とそのチェック、そして税金等の納付を済まさなければならない。実際に荷物を受け取るまでには数時間もかかる。その日のうちにもらえない場合もある。

 今回もこれまでと同様、社員のT嬢が一足先にこの事務所に出向いていた。そして、彼女は一人でテキパキと手続きを済ませ、このように荷物の受取りとなった。ただ23箱だから、社有車のライトバン1台には積み切れない。そこで親友B氏のクルマの応援も頼んでおいた。

 さて、この日は寒かった!たぶん-10℃以下だったろう。それに風も少しあった。日なたはまだいいが、写真のように日かげに入ると、コートのフードをかぶらずにはいられなかった。

 写真はすべての手続きを終えて、クルマに積み込む前の荷物である。植物は3種類、総数820本だ。新潟から来た植物にとっては寒いだろうな・・・。写真右は、フタを開けられチェックを受けたものである。1種類づつ3箱が開けられた。

さて、いよいよフジガーデンの温室に搬入である!日々好日、日々感謝。 (K.M)

(447) モンゴル日記(162)

【 鉢植えの置かれ方 】

 

 写真左はふつうのレストランの窓ぎわである。失礼ながら、「へぇー、こんな店の窓辺にも・・・」と、思った。それで撮ったものだ。また写真右は、あるビルの2階フロアにあった鉢植えだ。そのビルには大手の通信会社が入っている。モンゴルの携帯電話の分野などでは1,2番手の会社だ。

 この右の写真の鉢はフロアの角にドデンッと置かれていた。それが面白かった。観察したいと思ったのだが、同伴の社員T嬢に急かされたのでかなわなかった。けれど、何か花が咲いていた植物だろう。日が入らないので、それを求めて枝が徒長しているような感じだった。写真左のレストランの植物は一日 何時間かは、日が射し込むのだろうが。

 左右とも、ウランバートル中心部の、一般家庭以外での鉢物の置かれ方だ。考えてみたら、この国では屋内でしか鉢植えは生きられないのだ。それはもちろん、厳しい冬の寒さがあるからだ。

 アパート(こちらではマンションという言い方はほとんどしない。)などの一般住宅でも、その窓辺にはたいてい何鉢かの鉢植えが並べられている。それも5鉢や6鉢も飾られていることが少なくない。そして、その多くは花が終わってしまった植物だ。でも、大切に育てられているように思う。今後は機会があれば、そうした写真も紹介したい。

ここまで書きながら、わが部屋を見た。鉢物は一つもない! でも 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(446) モンゴル日記(161)

【 野菜の洗浄 】

 

 こちらの野菜はよーく洗う。その話は以前にも書いた。なぜなら、その多くが中国産だからだ。スーパーで販売されている野菜のうち、玉ネギ,ジャガイモ,ニンジンといった根菜類以外はたいてい中国産なのだ。

 その中国野菜は残留農薬の点でたいへん心配がある。だから、よく洗わざるを得ない。このことはモンゴルでは常識のようだ。特に子を持つ母親たちは敏感らしい。

 しかし、最近は韓国産も少しづつ出回っている。写真のものは、その韓国産ミニトマトとブロッコリーである。イメージ的には中国産よりはまだマシだと思ってしまう。モンゴルの人々もそうらしい。ただ、そうした韓国産の野菜は今のところ韓国系のスーパーでしか売っていないようだ。

 筆者のアパートの周辺にも、少し遠いが、そうしたスーパーがある。それが分かったのは最近のこと。それで、近ごろは時間がある場合、そこまで買物に足を伸ばす。

 とは言え、韓国産の野菜も中国産ほどではないが、よく洗う。写真のミニトマトは洗い流し3分以上、ブロッコリーはぬるま湯に数十分つけて、房を切り離してから数分は洗い流す。

 数年前に日経紙上で、日本の野菜生産業者2社がこちらに進出したと、報道された。(実はその際、弊社のことも取り上げてくれたが。)その2社の生産品は、まだ出回っていないのだろうか?

モンゴルでは努めて野菜を食べるようにして 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(445) モンゴル日記(160)

【 今年のチューリップ栽培 ④ 】

 

 写真左は、温室で真っ先に咲いたチューリップである。キャンディ・プリンスという品種だ。また写真右は、今回 試験的に入れたムスカリである。数は多くないが、栽培の面とモンゴルの消費者の反応という面で試してみたいと思った。こちらも問題なく、咲いてくれた。やはりチューリップよりは強健かも知れない。

 ところで、キャンディ・プリンスはもっと茎が伸びる品種である。昨年も目についた現象だが、本来は茎が伸びるこうした品種が伸びない。それは日中の気温が高すぎるためと思われる。こちらでは冬も晴天日が大半なので、日中は気温が上昇する。そのため、温室内は昼間20℃を超えるときもある。だから、茎が伸びないのだろう。

 それはともかく、キャンディ・プリンスが咲き出したとき、女性2人に感想をたずねた。花色はご覧のように薄い紫ピンクである。「この花色はどうですか?」。T嬢は質問を受けて、「いいですね」と言ってくれた。彼女のことだから、お愛想の意味も多少あったかも知れない。

 それに対して、今年からフジガーデンの準社員になったNさんは、「私は赤い花の方が好きです」。その率直な意見についてはうれしかった。実は、こうした人たちの正直な感想こそが、今後の販売のヒントになるのだ。しかし、ちょっと不安にもなった。

不安を抱えながらも、3月8日の婦人デーへ。日々好日、日々感謝。 (K.M)

(444) モンゴル日記(159)

【 今年のチューリップ栽培 ③ 】

 

 上の2枚は、氷点下アクシデントに遭遇した温室内のチューリップだ。2月27日時点の姿である。左が切花用にコンテナ植えにしたもの、右がポット植えだ。-7℃が二晩という過酷な環境のもと、ほんとうによく耐えてくれた!

 前日の夕方、チンギスハーン空港に到着し、迎えに来てくれたB氏とT嬢が言った。「温室のチューリップが気になるでしょう。もちろん最初に行きますよね」。まず温室に向かった。

 あの事故の後、写真を添付したメールで報告は1回受け取っていた。それによって、「ひょっとしたら大丈夫かも・・・」という感触は抱いていた。けれど、やはり現物を目にしないと・・・。到着するやいなや、温室内のチューリップをひと通り見てまわった。幸運なるかな!使いものにならない苗はほとんど見当たらなかった。「助かった!」。

 考えてみれば、これらの日本産チューリップは不良在庫として数奇な運命をたどったかも知れない。しかし、当初 予定していたオランダ側からの球根供給が事情によりできなくなった。そこで急きょ1月に入り、日本国内の球根在庫をあたっていて、偶然これらを見つけ出したものだ。

 それが通常の栽培ではありえないモンゴルでの2月上旬の植え付け、そのうえ超低温に遭遇したのだ。しかしながら、彼らは見事にそれを乗りきってくれた。

球根 万事塞翁が馬?! 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(443) モンゴル日記(158)

【 今年のチューリップ栽培 ② 】

 

 飛び込んできた魔のニュースとは、温室が一時的に氷点下になったことだった。モンゴル正月に入るとき、つまり2月18,19日と思われるが、2日間にわたり、担当者が誤って温室の暖房を止めたというのだ。その結果、二晩-7℃の状態にさらされてしまったという。暖房を入れておけば、夜間は0℃を下まわることがないのだが。

 上の2枚は、その直後にモンゴルから送られてきた写真である。見た目はあまり変化がないように思える。しかし、球根に詳しい社内の者に聞くと、「2,3日ようすを見ないと被害は分からない。そして、植物組織がダメになったら、葉などが融けたり白変してくるだろう。病気の発生する可能性もある。ただし、生育がそれほど進んでいないモノは被害を免れる可能性が高いだろう」、という話だった。

 フジガーデンでは冬季に植物が温室にある間、暖房を入れる。というより、1月には-40℃にも下がる日もあるので、入れなければならない。それには温水を発電所から送る都市暖房を利用している。ただ、ときどきパートナーのD社長がこぼすが、使用料は高いようだ。ともあれ、暖房は冬の植物栽培の生命線なのだ。

 今はただ、その後の情報の把握と、被害が出ないように祈るしかない。2月下旬にウランバートルに行ったら、すぐ温室に駆けつけよう。

希望は捨てない・・・そして、やっぱり 日々好日、日々感謝。 (K.M)

(442) モンゴル日記(157)

【 今年のチューリップ栽培 ① 】

 

 上の二枚とも、2月上旬にモンゴルから送られてきた写真だ。温室のチューリップのようすである。ウランバートルの社員T嬢が、報告してきたものだ。まぁ順調そうで、この時点ではホッとした。

 ステージは植え付けから4,5日後の状態で、芽を伸ばしてきたところだ。写真左は切花用にコンテナ植えとし、右はポット植えにした。はじめて試みた昨年と同じやり方である。

 合弁会社フジガーデンとして、2年目の栽培。今年は筆者が立ち会わず、T嬢たちだけで行った。全部で約6,000球の量である。それに球根の中には芽を出しはじめた品種もあった。少し心配したが、ちゃんとやり遂げてくれた。彼女は呑み込みがはやく仕事も確かで、去年 筆者が指示したとおりにやってくれた。

 実は今回ここに至るまで、順調には来なかった。当初は昨年と同じように、オランダからの球根輸入を計画していた。しかし、良質なモノを供給できなくなったとの先方からの急な連絡を受け、あわてて日本から輸入したものだ。オランダ側からのその言い分の真実は分からない。また、いちいち詮索する気もないが。

 さて、球根を植えつけて2週間。日中に気温が一時的に上がり過ぎること以外、悪くない状態で推移していた。そこへ魔のニュースが飛び込んだ。モンゴル正月の時に、暖房が止まった!というのだ。

日々好日とはいかない日もあるが、日々感謝。 (K.M)