(107) ホトトギス「富士の雪」

 ホトトギス「富士の雪」

 緑葉の上に独特の花を覗かせている。「富士の雪」という品種である。

 ホトトギスの名前の由来は、花の斑紋(紫色の点々)が鳥のホトトギスの胸毛の模様に似ているところから来たらしい。まァ、尾羽の白斑に見立てたという説もあるようだが。

 また、この花の名がどうして「富士の雪」なのかは、その栽培者からお聞きした。それによると、ふつうのホトトギスは紫色の斑紋がもっと強く出るが、この品種はそれが小さい点状にしか現れない。その優しい様が雪のようなので、そう名付けられたという。

 ところで、ホトトギスの花は地味さと派手さが同居していると思う。花弁の地色は白や黄色で、強烈な色彩ではない。しかし、その花弁の上に紫色の斑紋が添えられると、おとなしそうな雰囲気が薄まる。さらに、その柱頭が3つに裂け、その先がまた2つに裂ける。なかなか複雑で派手なのである。種によっては、その柱頭がずーっと伸び上がるものもある。だから、花組みはアクロバティックとも言うべき“つくり”なのである。

 とは言え、ホトトギスは秋の茶花としてもよく用いられるようだ。やはり和室空間に似合う花なのだろう。

 さて、恥ずかしながら今回知ったことだが、ホトトギスはユリ科なのだ。ユリ科ホトトギス属である。そう言えば、キバナノホトトギスなどを観察すると、合点がいく。直立する茎,倒披針形や長楕円形の葉,6枚で斑点がきつくない花弁などを目にすれば、なるほどと思われる。

 穏やかではないが、ホトトギスの花の特徴を捉えた一句。「はなびらに 血の斑ちらして ほととぎす」 沢木欣一

花にも鳥にもその名が付けられ、ホトトギスも 日々好日、日々感謝。 (E.O)