(65) キウイの花

キウイの花

 キウイフルーツはこれまで食べるばかりであったが、今回その花を初めて見た。

 写真は雌花だろう。6弁で直径は4,5cmくらいあり、色は白というよりクリーム色に近い。少し厚ぼったい感じのする花弁である。花の中央にある柱頭や葯が入り組んでいたが、大ぶりであった。それだから、ああした立派な果実を付けるのだろう。ただし、品種は分からなかった。

 キウイフルーツはもともと中国原産で、19世紀中頃にヨーロッパに持ち込まれた。その運び役を果たしたのが、あの有名なプラントハンター=ロバート・フォーチュンであったという。彼は英国王立園芸協会から派遣され、中国の広い範囲で数多く植物を採集し、本国イギリスに持ち帰った。その中にこのキウイフルーツも含まれていたという。(なお、彼はその後に幕末の日本も訪れた。滞在中は植物採集だけではなく、植木屋めぐり等にも精を出したようだ。)

 その後、20世紀初頭にはアメリカにも導入された。そして同じ頃、ニュージーランドにも入り、同国では活発な栽培と品種改良が重ねられていった。そうした経緯をたどり、やがてこのマタタビ属の蔓性果樹は、この国でキウイフルーツと名付けられ世界に広まっていった。

 ところで近頃、このキウイフルーツの棚の前を通るたびに、立派な果実がぶら下がり始めているのを確認できる。

念ずれば花開く。花が咲かねば実は付かぬ。 日々好日、日々感謝。 (E.O)

(64) ドクダミの花

ドクダミの花

ドクダミの花

 まるで何十人ものバレリーナが踊っているようだ。ありふれた植物ではあるが、惹かれるところがある。面積数㎡の小さな群落ではあるが、改めて見ると存在感もある。

 野草と言っても、ドクダミは地味ではあるが魅力ある草姿と花である。花組みも色彩も明快ですっきりしている。それに花数が多い。そして今回気づいたが、開花期間がなかなか長いのである。写真のものでも2週間以上は咲き続けている。

 ところで、実は白い4枚の花弁に見えるのは苞(総苞)なのだそうだ。蕾を包んで保護する葉の一種である。だから正確に言うなら、花は薄黄色の穂状になっている部分だけである。拡大写真の方をよく見ると、この白い苞が蕾をすっぽり包み、丸い玉のようになっている姿が散見できる。

 ドクダミ科の植物は日本では2属2種しかない。一つはこのドクダミ属のドクダミであり、もう一つがハンゲショウ属のハンゲショウである。いずれも1属1種なので、他に仲間がいない。 確かに両者の花穂は少し似ている。     

 ドクダミの臭いも筆者は嫌いというわけではない。だいたい小さい頃、ショウブ湯ほどではなかったが、実家の木の風呂でドクダミ湯に漬かった記憶がある。親が何かの効能を期待して入れたのだろう。ひょっとして素行の悪さを矯正しようとして、そうしたのかもしれない。

 かつて欧州へ度々出かけていた時期があった。その頃オランダや英国では勿論、アイルランドあたりでも業者の圃場で五色ドクダミをよく見かけた。気候の違いだろう、それらの葉は日本より鮮やかな赤や黄色を帯びていた。今でも売れているのだろうか。

ありふれた花でもあれば 日々好日、日々感謝。 (E.O)

(63) 月と稲田とビニールハウス

月と稲田とビニールハウス

 これは最近 撮影した写真の中でも気に入った1枚である。もし俳句を嗜んでいれば、一句 詠めるかと思えるような素晴らしい夜明け前だった。

 実を言うと、これは5月半ばの風景である。田植えから2週間ほど経ち、稲もしっかり根づいたが、まだ か細い。田には水がたっぷり張られ、水面が広かった。そこに映った月とビニールハウスである。その立ち並ぶハウスには主にアザレアが入っている。秋出荷向けで冷蔵前のものである。田んぼと鉢花栽培のビニールハウスが共存する風景は、この地域の農業の縮図である。

 時刻は朝の4時過ぎ。月齢は約16日で、ほぼ満月を保っていた。皓皓とした月明かりが、あたり一面を照らしている。何やら狼男みたいだが、その怪しげな月光に誘い出されたように、起きてすぐ動き出した。この時こそシャッターチャンス!と思い、自転車にまたがり撮影の障害物がない田んぼの方に向かった。 

 月明かりの世界がまもなく陽光の世界に入れ変わろうとするこの時間帯。大気は清浄な色と香りを漂わす。まだ鳥たちも騒ぎ出さず、静寂に包まれている。それに全く無風であった。この独特な時間と空間が自分のために現出したようにも感じる。心地よい、それでいて不思議な感覚・・・。

 ・・・それから約1ヶ半月後、写真の稲もこのところ大株に生長し、その茎もだいぶ太くなってきた。草丈も40~50cmに達している。もう稲と稲のすき間が見えなくなってきた。

日々好日、日々感謝、稲にも感謝。 (E.O)