(342) モンゴル日記(68)

【バヤン・チャンドマン農場③】

 写真は2枚とも、農場の一角に整然と植え込まれたマツである。その数、500本以上はあろう。たぶん日本のアカマツに近いものだと思う。D社長の説明によれば、これらは〝ヤマどり〟らしい。〝ヤマどり〟とは、山地などに自生している植物を掘り取り、それを圃場などに植えて育成したり、流通にまわすことをいう。また、そうやって採取した植物を指す場合もある。業界用語だと思っていたが、広辞苑にはちゃんと載っていた。ただし最近、日本では自然破壊と連想されてマイナスのイメージが強い。

 さて これらの植栽されたマツの中に、ところどころ赤茶色の枯れた木が目立つ。この植えた木が枯死する率を枯損率と呼ぶが、このマツ類をざっと眺めると、枯損率3~4割といったところか。日本でも一般的には、〝ヤマどり〟の樹木は植えてから根づいて生きる割合(活着率)が良くないとされている。だから、これでも成績がよい方かも知れない。

 また 写真下の白っぽい柵の向こうには、電柱が立ち並び電線も走っている。その先には放牧された数十頭の牛たちが草を食んでいた。白黒牛あり,黒牛あり、茶色牛あり。一心不乱に朝食に精を出している。こんなにのどかな風景をボケーッと眺めていると、時間や居場所を忘れてしまいそうになる。

ところで、こちらの朝食はまだ出来ないようだ。もう少しマツことにしよう。日々好日、日々感謝。 (K.M)