(606) モンゴル日記(321)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて69 】

北モンゴル最奥部を訪ねて69

北モンゴル最奥部を訪ねて69

 ご覧のように、馬がキャンプの敷地内で堂々と草を食んでいる。以前述べたが、彼らは柵の外にいるのではない。間違いなく柵の内側なのだ。

 馬が柵内に”侵入”して来た最初のとき、そばにいたBさんに叫んだ。「たいへん!馬が入って来ちゃったよ」。ところが彼は、「ああ,そう。彼らも草を食べたいのでしょう」?! 他の人たちに訴えても相手にしてくれなかった。ただ一人,T氏のお嬢さんがこう言ってくれた、”Never mind,never mind”。

 要するに,モンゴルの人たちは柵の中に入ってくる牛馬など、全く気にしない。騒ぐ日本人がどうかしている、と考えているのだろう。これ以降,牛なども度々やって来た。中には草も食べずにコテジの日陰で休む牛もいたほど。ただ羊とヤギは一度も来なかった。牛馬に比べると臆病なのかもしれない。

 さて家畜のうち,草を食べる姿は馬がいちばん興味深い。馬たちが逃げ出さない程度に彼らに近寄る。そして,そのそばで耳も彼らに集中させる。と,”ムシッ,ムシッ”というような音が聞こえてくる。丈のごく短い草を、口先で巧みにむしりとっている音なのだ。この辺の草地で10㎝も草丈の伸びている場所などなかった。まァせいぜい2,3㎝だろう。それを食べ尽くしていくのだ。

 彼らは「美味かった」とも言わず,食事が済んだら立ち去った。日々交流、日々交感。 (K.M)