(608) モンゴル日記(323)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて71 】

北モンゴル最奥部を訪ねて71

北モンゴル最奥部を訪ねて71

 この2枚の写真とも、あの断崖の手前にある高台から撮影したものだ。ここは眺望が良かった。上の写真はロシアとの国境に連なる奥山の”盟主”だ。こうして少し高い地点から眺めると、残雪は沢筋だけでなく稜線上にも認められた。また山容が大きく、どっしりとした姿を見ることもできた。

 さて下の写真。これは別に”芸術写真”ではない。たまたま画面が斜めだったのに気づかず写してしまっただけ。ただ筆者は気に入っている。もちろん実際の草原は平らである。やって来ていた4頭の馬と、その先にいた1頭の牛が草を食べているのんびりした風景だ。はじめはこの1頭も馬だと思っていたが,どうも体つきが違う。拡大して,前後の写真も調べたら、馬ではないと気づいた。

 放牧家畜のうち、馬や羊・山羊は群れを維持する性格が強いように思う。彼らにおいて、1頭だけ群れから大きく離れているといった場面は目にしたことがない。それに対して,牛などは群れからだいぶ離れている姿をたまに目撃することがあった。しかしそれとて,そのうち集団に合流する。

 だいたいモンゴルでは,放牧された同じ家畜どうしのケンカも、また違う種類がいがみ合う場面も一度も目撃したことがない。そうした様を「家畜の平和」と言うのかもしれないが・・・。

 変化に乏しくても穏やかな日々を送ることを良しとする価値観もある。日々平穏、日々平和。 (K.M)