(391) モンゴル日記(106)

 

【 ボケ 】

 これまではこちらで売れなかった花について述べてきた。しかし それと反対に、たいへん好評を博した花ももちろんあった。今回、その代表がボケである。

 写真左は新潟~インチョン~ウランバートルと空路で運ばれたボケ苗を、温室でプラ鉢に植え込んでいる場面だ。到着した苗で蕾が落ちたものが多少あったが、幸い枯れたものは1本も無かった。

 作業員は現地の作業員、ではなく実は筆者である。少し説明したい。これらのボケは盆栽のように剪定で木姿をつくっている。だから一応、木ごとに正面がある。けれど 従業員の人たちは、当然なのだが、その正面がよく分からない。また 彼らは、木を鉢の中央にちゃんと植えるということにも慣れていなかった。これもしょうがない事なのだ、今まで教わっていないのだから。

 それでやむなく筆者自ら植え込むことにした。そして、250本全部を2日間かけて植えおわった。それから11日後。毎日2回ほど霧吹きをしてもらい開花を早めながら、蕾が開いてきた姿が写真右である。

 これらは「ボンサイ・ボケ」と名づけて店頭に並べた。このネーミングは結果的には良かった。ただ日本なら写真右のような状態なら、お客さんはもう買ってくれるものだ。けれど、こちらのお客さんは違った。もっと花開いたり、蕾がもっと色づくまで、ほとんど手を出さなかった。

ボケは希望の☆となってくれた。日々好日、日々感謝。 (K.M)