(309) モンゴル日記(35)

モンゴル日記

【モーガン】

 前号でとり上げたレストランを出たら、店の前に風変わりな自動車が一台止まっていた。Bさんがこのクルマを見るなり、「おおっ、モーガンだ、モーガン!」と叫んだ。筆者「ンッ?」。Bさん「シャチョー、この車を知らないんですか?」。「ただのクラシックカーじゃないの」。「違う違う、イギリスの有名なクルマです」。「日本で言うと、いわゆる名車?」。「うん、それそれ」。そんな説明を受けて改めてよく見ると、確かに味わいのある姿かたちではある。

 Bさんは新潟に住んでいた頃、中古車輸出のビジネスに携わっていた。そして、モンゴルに戻って来てからも、それを業務の一つとして手がけている。だから、クルマにはなかなか詳しいのだと思った。

 けれど 同時に思い出したのが、モンゴルをよく知る日本人の方が語っていたことだ。つまり、モンゴルの人たちはけっこう見栄っ張りで、クルマ,携帯電話,靴にはとくに気をつかうと。だから、これらのことには関心が高いのだろうか。ただ、こうした傾向は極東ロシアに通っていた頃に、日本の関係者からロシアの人々も似たような面があるとは聞いた。そして、そうしたいわば“見栄っ張り消費”というものがあるんだと。

 ところで、名車モーガンである。インターネット検索で調べた。それによれば、この自動車は英国モーガン社の手造りなのだという。同社は100年以上の歴史を持ち、英国の自動車産業で他社の資本が入っていない唯一のファミリー企業らしい。

ウランバートルで“走る伝統”に出会って、日々好日、日々感謝。 (K.M)