(653) モンゴル日記(368)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて116 】

 まず上の写真。前号でも述べたように、こちら東側は針葉樹の密度がうすくなり、森林という感じではなくなる。いわばその疎林になった針葉樹の間に、大小の岩が頭を出していた。そして,その空隙を草本が埋めているといった風景だ。

 このあたりでも、日本でいう低木や中木といった高さ数十㎝から1,2mの木本がほとんど見られない。高木プラス草本といった単純な構成になっているようだ。だから,いわゆるヤブが形成されていない。これらの背景には,まず気候的な要素や地理的な要素があるだろう。また,放牧という人為的な要素も影響しているのかもしれない。

 ところで日本の森林では、この時期なら聞こえてくるであろうセミの声がここでは全く聞こえない。前年の夏に出かけた北部モンゴルのテシグ周辺でも、やはり耳にしなかった。北モンゴルではセミ類が生息していないのだろうか?耳鳴りのセミの音は四六時中いつでも付いてまわっているのだが。

 さて下の写真である。この花を発見したとき思わず、「おおっ」と驚いた。草丈40,50㎝はあったろう、そして花付きがひじょうに良く、その姿・形に感激!キキョウかリンドウの類だろう、とは思った。帰国してから本格的に調べる。そして結局,キキョウ科ホタルブクロ属の仲間だろうと判断した。ヤツシロソウというのに近いように思えたが。

 時に赤花、時に青花。 (K.M)