(654) モンゴル日記(369)

【 北モンゴル最奥部を訪ねて117 】

 引きつづきシシケッド川左岸の植物を紹介しよう。数は多くはなかったが、興味を引かれる花がいくつかあった。

 まず上の写真の植物である。こんな白い花穂がヤナギランが林立するなかに、すっくと立っていた。だから目立った。数は多くはなかったが。これがはじめのうちは何だか分からなかった。見当もつかなかった。草丈は1m前後で花色は白というよりクリーム色と言うべきか。花は何となくデルフィニウムに似ているような気もした。

 けれど帰国してから、地元の先生のところに伺いヒントを頂いた。そして,その後モンゴル側の資料をあたってみる。そうしたら,ひじょうによく似た写真が載っていて、やっと確信を得た。この植物はAconitum つまりキンポウゲ科トリカブト属なのである。日本では近ごろトリカブトと言うと、良いイメージを抱かれないようだ。しかしモンゴルでは薬用にも用いられているようである。また日本でのこの仲間は青や紫の花が多いように感じる。

 さて下の写真、ボケてはいるが,ヤナギランの後ろにある赤茶色の花だ。上の写真の植物と違い、分かりやすい。ワレモコウの仲間である。これは日本でもおなじみだ。この植物はモンゴルの山野でよく見かける。大群落はまだ目にしたことがなかったが、この旅の帰路で大きな集団に出会った。それは後日,記したい。

 左岸側 ときどき珍花、ときどき美花。 (K.M)