(164) 百両金(カラタチバナ)-其の八

百両金(カラタチバナ)-其の八

百両金(カラタチバナ)-其の八2

 写真上は百両金の「萌黄万宝(もえぎばんぽう)」である。葉の色は独特の黄緑色で、名前の通り「萌黄葉」と言うべきだろう。その葉は密に出て重なり、葉の縁には白い線のような糸覆輪が現れて美しい。

 若い幹の色は薄緑と言ってよいだろう。それに、この個体はすっと伸びて丈がある。30cm近くはあろう。姿は柔らかく派手ではないが、上品さを感じる。実が付いてはいないが、眺めていても飽きない。比較的新しい品種らしい。

 さて写真下は、最近見かけた出雲百両金萬両同好會が発行した百両金銘鑑(平成二十三年度版)である。大相撲の番付に似せた独特の形式と内容で作成されている。こうした銘鑑は琴糸南天や巻柏などの伝統園芸植物、あるいは和物と言われる植物でもときどき発行されている。百両金については、このように島根県の同好会が銘鑑の発行を続けてくれている。

 この銘鑑の左端=新登録欄には、わが新潟県の片岡一夫氏が生んだ品種「片岡の誉」も載せられている。まさに誉の逸品である。実は片岡氏は親友M氏のお父上である。同氏は長年にわたり珍品収集とその栽培を続けておられる。そして、百両金の栽培にも長く携わってこられた方だ。

 ところで近年 少しづつだが、この百両金も再評価の流れが出てきたようだ。これまで新潟県と島根県だけが熱心に栽培・保存に取り組んできた、と何度か述べてきた。けれども新しいところでは、千葉県にも同好会的組織が結成され、既に展示会なども催されているらしい。

やはり伝統を継承する人々がいて 日々好日、日々感謝。 (E.O)