(197) 初夏のモンゴル①

初夏のモンゴル

【留学生】

 またモンゴルに行って来た。そして、今回も面白い体験を幾つかさせてもらった。

 行きは写真の女性たちと一緒になった。その彼女たちが示した着陸の際の行動は、興味深いものだった。

 二人ともモンゴルからの留学生で友達同士だという。右の女性がB嬢,左の女性がO嬢だ。チェックインのために並んでいた際、O嬢が滑らかな日本語で筆者に声を掛けた。はじめはてっきり日本人だと思った。ご本人の話でも、たまに日本人と間違われるらしい。

 彼女たちは首都圏の大学院に通っていて、久々の帰国だという。荷物の重量超過の関係でちょっと手助けをしてやったのだが、飛行機の座席も同列になった。

 機内で5時間半も過ごさなければならない。だから、話し相手がいるのは助かる。ましてや日本語の話せるかわいい女性である。隣にはO嬢が座り、しばし話が弾んだ。

 さて会話は尽きなかったが、チンギスハーン空港への着陸が近づいてきた。機はしだいに高度を下げ、丘陵と草原が見えてきた。どうやら雨が降ったらしい。それを眺めながら、二人がそわそわし始めた。しまいには快活な声を発しながら、はしゃぎ出したのだ!

 O嬢がうれしさを表情や動作に表しながら、通訳をしてくれた。「雨降りのわが母国よ、万歳!客人が雨を連れて来たよ!久しぶりの麗しい故国よ!」といった感激の言葉の連発らしかった。何だかこちらまでうれしさが伝わってきた。

 そう言えば、司馬遼太郎『モンゴル紀行』にも、雨を喜ぶモンゴルの人々のことが書かれていた。

雨降って心ときめく。 日々好日、日々感謝。 (E.O)