(204) 初夏のモンゴル⑧

モンドガナゲル内部

モンドガナ孫の手

【ドゥガナハッド―生活者のゲル】

 写真はいずれも、前回触れたダンガンさんの一家が住むゲルの内部である。彼は温厚・実直そうな人で、エヘガザル社のD社長と知り合いであること等は既に書いた。

 これまで観光客向けのゲルは、何度か入ったことがある。1回だけだが、ゲルで宿泊したこともある。しかし、こうしたいわば生活者のゲルには入ったことがなかった。

 中でD社長と懇談していたダンガンさんが、筆者たちをゲルに招じ入れた。内部は整然としていて、ベッドや家具調度,テレビや冷蔵庫なども備え付けられていた。はじめのうちは乳茶を出され、何杯かお代わりした。これは口に合う。やがてウォッカの瓶とグラスが出てきた。これにはびっくり!そして、何杯か勧められた。モンゴルの人々は客人をよくもてなす。

 ところで ウォッカのグラスを手にしながら、このゲルの造作を見回していたら、興味深い道具を意外な所に発見した。梁に挟まっていた孫の手である(下の写真)。ダンガンさんか奥さんが使うのだろうか?

 そのうち中学生くらいの娘さんが入ってきた。そして、持っていた櫛を素早くこの梁の間に器用に挟み込んだ。彼女は母親と二言三言ことばを交わして、また出て行った。このように梁は色んな小物が収められるのだ。感心すると共に、ほのぼのとした生活臭が伝わってきて、楽しくなった。

 ところで後日、インターネットでダンガンさんの名前を見つけた。ドゥガナハッドの乗馬のトレーナーとして紹介されていたのだ。

ゲルは人と人の心も包んでくれる。日々好日、日々感謝。 (E.O)