(98) 香りギボウシ

香りギボウシ

 純白の「香りギボウシ」の花である。先週 事務所のカウンターの上に飾られていた。

 品種はちょっと珍しい“八重 タマノカンザシ”である。文字通り芳香がする。夜に開花する性質があるようで、ダシャレではないが、その開いた花に鼻を近づけると、やや強い香りが漂ってくる。ただし、花が閉じていては ほとんど香らない。少しユリの香りに似ているが、あのクセのある部分を薄めて、替わりに甘さを加えたというような印象である。月並みの言い方だが、ブログの画面からその芳香をお届けできないのが残念である。

 ところで この“八重 タマノカンザシ”、花の大きさではギボウシの中でも最大級である。事務所に置かれたこの花でも、その先端から花柄まで長さが10cm以上に達するものもあった。

 前の日には蕾だったのが、翌朝 見事な八重の花を咲かせ芳香を醸し出す。朝 出社してこの開花に気付き、香りにも気付くと「おッ!」。ちょっと感激する。面白いのは、その重い花を支えるためか、茎は太く硬く まるで木の枝のようで色気がない。

 今年の開花はだいぶ遅かったようだ。例年なら、だいたい8月中に咲くのだが・・・。こんな風に、植物を扱う世界にいると、近ごろはこうした開花時期のズレや狂い咲きといった現象が少なくないように思う。やはり気象レベルで大きな転換期を迎えているのだろうか。しかし、ただそれに不安を抱き、嘆くばかりという態度は取るまい。花は人々に希望を与えてくれるものだ、と信じている。この事については、後日 機会があれば述べたい。

花があれば、とくに香る花あれば 日々好日、日々感謝。 (E.O)