(115) 山紫水明の地-北モンゴルにて④

山紫水明の地-北モンゴルにて-1

山紫水明の地-北モンゴルにて-2

 (113)号でも書いたが、明け方はとても底冷えした。けれど、それも時間が経過し陽が照ってくると、朝の冷たく厳しい風景が変わってくる。写真(上)のように、手前の枯れ草の霧氷だけはまだ融けていないが、空も川面もあくまでも美しく穏やかな風景になって来る。それが午前10時以降だろうか。

 今回で6度目のモンゴル訪問となる。これまで、草原やなだらかな山並みは見慣れてきた。また、樹林はテレルジやウランバートル郊外でも小規模なものは見てきた。だが、ここでは違った。明るくなって周囲を見回すと、落葉樹も常緑樹も他に比べれば多い。おそらく本格的な森林で面積も広いのだろう。

 それを裏付けたのは、前日この地にたどり着くまでに、日本でいう営林署と森林警察(これは日本には無いが)の二つのゲートがあったことだ。それも簡単ではない交渉をしながら、通過してきたのだ。とくにその営林署のゲートの所では、森林火災の防止について厳しく言われたようで、20分くらいは“通せ,通さない”で問答を重ねたようだ。

 また、こんなに川幅のある清流は、テレルジ以外では目にしていない。それに、このユロ川は最後にはバイカル湖に注ぐという。日本では河川の終末が異国に至るということはない。だから、思わず「国境」というものを意識し、雄大さを感じてしまった。

 ところで 写真(下)は、落ち葉が川岸に流れ着いたところである。主に落葉針葉樹のカラマツ類のものと思われる。日本でも上高地あたりに行けば、こうした川岸の風景は見られるかも知れないが、筆者は初めて見た。

国は違っても、山紫水明の風景に接すれば 日々好日、日々感謝。 (E.O)