(119) ミルトニア

ミルトニア

 先月下旬から、事務所のカウンターにしばらく置いてあったミルトニアの鉢植えである。ランの仲間だ。

 このミルトニアには申し訳ないと思っていた。実はこの鉢植え、昨年の仕入れ品の残りだった。だが、花期はずーっと事務所に飾っておいたのだ。しかし、その後一年間は最小限の世話しか受けなかった。温室の片隅に置かれ、灌水以外はあまり手をかけられなかったのである。

 けれど、健気にも今年このように花を多く付けてくれた。その強健さに感心した。葉の傷んでいるところは除いてしまい、こうして飾れば再び人の目を楽しませてくれる。

 ミルトニアの原産地は中央・南アメリカで、高地に生育するタイプと低地で生育するタイプがあるらしい。前者の方は花が大輪で美しい種類が多いという。英名ではパンジーオーキッドと呼ばれる。しかし、暑さ・寒さの両方に強くないらしい。

 写真のこの品種は、ラベルの解説から低地性タイプのようである。このタイプは夏の暑さに強く、また耐寒性も高地性のものよりあるという。だから、偶然の要素も重なったのだと思うが、粗放栽培でもこうして花が咲いたのだろう。

 ところで、属名のMiltoniaは英国のラン栽培家であったミルトン(Milton)にちなんで付けられたものである。学名にはこうした命名の例が少なくない。有名な話では、中国原産のハンカチノキ(ダヴィディア Davidia)の属名は、発見者であるフランス人神父=A.Davidにちなむものである。なお、彼はパンダをヨーロッパに初めて紹介した人物としても知られている。

植物の学名の由来を考えながら 日々好日、日々感謝。 (E.O)