(122) 百両金(カラタチバナ)-其の二

百両金(カラタチバナ)-其の二

 写真は百両金の「黄竜錦(きりゅうにしき)」という品種である。  

 数年前まで、こうした伝統園芸植物にはほとんど興味を抱いていなかった。だいたい縁もなかった。しかし 近ごろは色々な機縁で、ときどき覗いたり観賞する場もできて来た。そうすると、しだいに独特の味わいを持つ、奥の深い植物世界だと認識するようになってきた。さらには、世界に誇ってもよい日本の伝統文化の一つだ、とまで考えるに至った。

 中でも百両金は伝統園芸植物の中でも最高峰、と評価する人は少なくない。なぜなら、百両金はまず何といっても葉の変化(葉芸)、つまり形・色・斑の多様さがある。おそらく、園芸植物の中でこれほど様々な葉芸を見せるのは、他に無いのではなかろうか。

 そして次に、実の色の豊富さである。赤・白は勿論、ピンク・オレンジ・紫といった色の実も出る。そして、茎の色の違いなど、実にさまざまな魅力を持っている。また、それらが組み合わさって、複合的な独自の風情を醸し出す。

 たとえば この「黄竜錦」である。まず、葉は白い覆輪(葉の縁が白い)である。その上、捩れて巻き上がる。こうした葉芸を伊達縄と言うのだそうだ。また、この展示品には葉に斑も入っている。だからこそ、品種名に“錦”が付けられている。そして、朱赤の実をイヤリングのごとく覗かせている。

 ところで、この品種は比較的育てやすいのだそうだ。栽培管理のポイントは、灌水を控えめにすること、乾燥気味の場所には置かないことだという。

美しさだけではなく、不思議な感覚も呼び起こす百両金で 日々好日、日々感謝。 ( E.O)