(120) 出荷直前のアザレア

アザレア

 出荷前の色とりどりのアザレアが並ぶ。一時ながら、周囲がぱーっと華やぐ。

 この産地でもトップクラスの生産者であり、優れた育種家でもあるH氏の温室の中である。左手の寄植え鉢は、「紅姉妹」(赤),「輝」(サーモンピンク),「ロザリー」(明るいピンク)といった品種で構成されている。このうち彼が作出した種苗登録品種の一つが「紅姉妹」だ。花は鮮紅色で半八重咲き、葉が濃緑色の照葉である。

 一方、下に置かれている品種は、「アンブロシャーナ」,「テラノバ」,「ルーシー」,「ニコリーナ」といった人気品種である。

 業界関係者には知られているが、この地は古くからの花卉園芸産地なのだ。特に鉢物生産が多く、主な生産品目ではアザレア,シャクナゲ,ボケ,ツバキ等が挙げられる。最近ではクリスマスローズの産地としても知られている。H氏はそのクリスマスローズ栽培でも良い腕を持っている。

 また、その生産品目の多種多様さでは日本一だと見なされている。花木、宿根草、山野草、球根、果樹と幅広い。最近 県の農業普及指導センターや園芸団体が中心になって、当地の栽培植物の調査を始めた。それによれば、大雑把に属レベルで区分しても150種以上の植物が当地で生産されているようだ。

 中でもアザレアは全国トップシェアを誇る鉢花の一つである。この時期は既に、その出荷時期に入っている。現在では冷蔵処理等による開花調節技術が確立され、早ければ9月頃から翌年4月まで出せる。(自然開花なら3~5月が通常だが。)そして、全国各地の市場、ホームセンターや園芸店に運ばれて行く。

やはり花があれば 日々好日、日々感謝。 (E.O)