(123) 双ヶ丘

双ヶ丘

 見覚えのある三つの小山。双ヶ丘(ならびがおか)である。撮影した場所は、常寂光寺の境内だった。すでに陽がだいぶ西に傾いていたので、写真の手前からずーっと、小倉山の影が写ってしまったのだ。

 先週、京都,滋賀,愛知を回る出張に出た。初日は、午後から南禅寺近くで用事を済ましたが、夕暮れまでには少し時間が余った。それで、たまたまお連れの人の中で常寂光寺のご住職と親しい方がおられたので、電話を入れてから筆者を含む三人でお邪魔した。ご住職が所有される″ある植物″を見せて頂くために。

 境内にはモミジ類が多かったが、まだ色づきが進んでいなかった。「23日頃からええ紅葉が見れますエ・・・」と、売店の人が話していた。しかし、訪れる人は多かった。とくに女性が境内を行き来していた。

 学生時代の後半、この双ヶ丘の麓とも言うべき場所に下宿をしていた。貧乏学生にとっては比較的住みやすかった。それに勉学にはほとんど励まなかったが、キャンパスにも歩いて行ける距離だった。また、竜安寺や御室仁和寺、それに妙心寺といった名のある寺院も近かった。ことに仁和寺には春夏秋冬にわたって足を向けた。

 ところで、双ヶ丘はその仁和寺の南にある小高い丘である。何と言っても、かの兼好法師が住んでいて「徒然草」を執筆したとされる場所である。北から南にかけて一の丘,二の丘,三の丘と連なっている。調査によれば、どうやら古墳だったらしい。

 実質5年間過ごした京都は、今でも「巨大な田舎」だという印象を持っている。また、当時の生活の一種ノンビリした気分は、懐かしさを伴って思い起こせる。

たまに京都に行くと 日々好日、日々感謝。 (E.O)