(118) マーモット料理-北モンゴルにて⑦

マーモット料理-北モンゴルにて

 写真は出来上がったマーモット料理である。

 今回の釣りツアーでは、幾つかの“珍味”を口にした。生きた小魚の飲み込みは、まだマシの方だった。だが、遅いランチに出されたこのマーモット料理だけは・・・。

 わが親友で通訳のBさんは、「シャチョー、大丈夫,大丈夫、マーモットはネズミの仲間だから」と言う。何が大丈夫なのかよく分からない。

 ただ興味だけはあったので、この調理の様子を観察していた。さしずめ、その料理を一言で表現すると、“マーモットの毛皮袋肉詰め蒸し焼き”といったところだ。この観察も、逃げ出すタイミングを失った原因となったが。

 30分ほど経ったろうか。料理が完成した。湯気と共に、肉の焼けた匂いが辺りに漂う。

 これは食べないようにしよう。それで、自然なしぐさでこの場を離れようと思案を始めたその時、D社長からお呼びが掛かった。手招きされたのでしょうがない。D社長の隣に座れ、と言う。逃げ去る機会を失ってしまった。

 こうなれば覚悟を決めた!それなら彼の目の前で肉を一口食べ、さっさとこの場を去ろうと。そこで最も小さい肉片を見つけ、口に入れた。少しだけ噛み、後は一気に飲み込んだ。

 「Good?」とD社長が聞くので、腰を浮かしながら「De,De・・・Delicious・・・Oeh・・・.」と答えるのが精一杯。すぐに傍らに置いたカメラを掴みながら、その場を遠ざかった。

 帰国後に事典を調べた。それによれば、マーモットはネズミ目リス科マーモット属に分類されていた。その時以来、マーモットはネズミの仲間と思わず、リスの仲間と思い込んでいる。

風土と食に思いをめぐらし 日々好日、日々感謝。 (E.O)