(206) 初夏のモンゴル⑩

モン夕暮れミーティング

モン農場の日没

【樹木栽培農場―その3】

 前回と同じく、ドゥガナハッドからウランバートルに戻る際の話である。D社長は、その道沿いにあるバヤン・チャンドマンの農場に再び寄った。

 現地時間では午後8時15分頃。暗くなるまでには少し時間があった。日本より緯度が高いので、この時期は日 が長い。D社長は現場スタッフを前に、いわば日没前ミーティングを始めた。写真上で、青いジャージを着て前にいるのが彼である。

 彼がどんな話をしているのかは、見当がつかなかった。ただ この時はリラックスした話しぶりで、従業員は静 かに耳を傾けていた。実はこの中に、D社長の長男と次男も混じっていた。長男のV君はアメリカに留学した後に 、父が経営するエヘガザル社に入社した。そして現在では、英語が達者なこともあり、さまざまな業務をこなしている。すでに筆者も顔なじみだ。

 一方、次男のD君は中国に留学中と聞いていたが、今は夏休みでここに居合わせたのかも知れない。どうやらD 社長は、次男も留学後には社業に携わらせる考えのようだ。

 ところで 日の入りが迫ってきた。下の写真は農場から眺めた日没直前の風景である。バヤン・チャンドマンの 草原に闇が広がり、その奥の連山がシルエットをつくる。凝視すると、農場の柵が黒っぽく直線状に山裾を隠して いた。そして、沈む夕陽が一瞬オレンジ色に輝き、まもなく消えた。現地時刻で午後8時40分過ぎ。余韻のなか で静かな感動が湧いてきて、夕陽を久しぶりに美しいと感じた。

この国では星や月だけでなく、日の入りも絵になる。 日々好日、日々感謝。 (E.O)