(212) 初夏のモンゴル⑯

キャンプ花

キャンプ花

【河畔の花園】

 草原は花園だった。紙面の都合で写真は多く載せられないが、確認した花だけでも十数種はあったろうか。白,黄色,紫,ピンク,うす緑・・・実にさまざまな花が咲いていた。

 なかでも 一見キクに似たこの花は群落をつくり、草原を白っぽく染めていた。写真上がその風景である。奥の山すそが白く帯状に見えるのも、同種の群落と思われる。写真下はその植物の花である。

 この白花、当初はキク科植物かと考えていた。ところが、帰国して写真を見直していたら、そうではないような気がしてきた。うちの部長に訊いてみたら、花や枝の様子は日本のカラマツソウに近いという。それで改めて調べると、確かに花の構造も色彩もよく似ている。もともと花弁を持たず、萼も早く落ち、細く白い花弁に見えるのは雄しべで、黄色い先端が葯である。たぶんカラマツソウの仲間なのだろう。

 そのカラマツソウらしき群落に混じって、多様な植物が花を開いていた。アブラナ科と思われるクリーム色の花、タデ科であろう穂状の白花、黄色い花をつけたセダムの仲間、キキョウ科と思える紫の小花、日本のキンバイソウによく似たオレンジ色に近い黄色の花(前回述べたキンポウゲ科植物)、花序や花色からセリ科と思われる白花、鮮やかな黄花が目立つケシ科植物、白っぽい花のノコギリソウの仲間・・・。

 D社長の話では、この時期にしては例年より咲いている花の種類が少ないと言う。今年の冬の寒波が厳しく、開花が遅れているのだろう、と語っていた。

モンゴルでも花があれば、もちろん日々好日、日々感謝。 (E.O)