(215) コスモスにとんぼ

コスモスにとんぼ

 今年初めてトンボの撮影に成功した。お盆前の朝、鉢植えコスモスの花に止まっていた。場所は事務所の玄関脇である。

 花札のように「牡丹に蝶」ではなく、「コスモスにトンボ」だった。トンボはたいてい棒や枝・葉の先に止まるもの、とばかり思っていた。だから、その花に止まった姿が珍しいこともあって、発見した時には急いでカメラを取りに行った。ただカメラを構えて数メートル手前に近づくと、何回か花を離れて気をもませた。が、 何とか2枚は撮影できた。

 おまけに、そのコスモスはふつうの種類ではなく、チョコレートコスモスである。この組み合わせも面白かった。まさかチョコレートに似たその香りに惹かれたわけでもあるまい。ただ正確に言うと、トンボが取りついたのは花ではなく、開きかけの蕾だった。トンボの種類は、でかい複眼などからすると、ヤンマトンボの仲間だろうか。

 子供時代のことを思い出すと、トンボについてはその捕獲方法がユニークだったのを覚えている。何かに止まったトンボにゆっくりと近づく。そして、その目玉に向かって人差し指で円を描きながら、さらに近づいて行く。そうすると、彼らは複眼を回しながら、しまいに目を回してしまい、飛び立てない場合がある。そこをさっと手で捕まえるのだ。確か先輩たちから教わったことだ。最初そのやり方を聞いた時には、冗談かと思った。しかし、これは冗談でも漫画の世界のことでもなく、実際に筆者も何度か経験した。

子供の頃に小動物を捕まえ、時には死なせてしまって、はじめて生命を学ぶ。日々学び、日々感謝。 (E.O)