(226) 野菜の花-ナス

野菜の花-ナス

野菜の花-ナス

 当地でも、ほぼ彼岸を境に気温が下がってきた。やはり「暑さ寒さも彼岸まで」、めっきり過ごしやすくなってきた。また幸い、今回の台風17号の被害は今朝の時点ではほとんど見られない。

 「今年は秋も冬も来ない。一挙に飛び越してまた春が来て、またアッチェ夏がすぐ来るよ!」事務員さんたちに言い放っていた。そうしたら「シャチョーは去年もそんなこと言ってましたよね」と、あしらわれてしまった。

 それはともかく、ナスの収穫は当地でもすでに終盤だろう。写真は「水ナス」という品種で、全国的にも普及しているらしい。さて野菜の花の中で、ナスはオクラなどと同様に好きな花の一つである。オクラの花は黄色で、茎も太くまっすぐに伸び、葉も明るい感じを受ける。どこかしら快活といった雰囲気がある。それに対して、ナスの姿はどこか渋く重く、哲学的でさえある。

 けれど ナスは花のみならず、実も葉も枝も悪くない。花は下向きの点だけ気にかかるが、淡い紫の上品な花色がよい。果実はその淡紫色を何十倍も濃くしたような黒紫で、つやもある。また成長してくると、茎と太い枝だけは薄い褐色になるが、若い枝は果実と同じ黒紫色を帯びている。葉には、これと同じ黒紫色の葉脈が走る。植物体として色調の統一感があり、緑~紫~黒といったグラデーションを構成する。

 ある文献にこんな記述があった。《花も果実も茎葉も紫色で美しく、昔は観賞植物であった》 わが意を得たりと、うれしくなった。

またおちて ぬれ葉にとまる 茄子の花 (飯田蛇笏)  日々好日、日々感謝。 (E.O)