(230) エゾツリバナ

大実ツリバナ

エゾツリバナ

 このツリバナは親友K氏の温室で発見した。珍品の収集家でもある彼の栽培棚に、また見慣れない一鉢があったのだ。ただ、上の写真の頃にはまだ実が開いていなかった。「ツリバナ?それにしては実が巨大だ。まァ、いずれにしてもニシキギ属の植物だわなァ」

 ほんとうに果実が大きい。でかいものなら、幅・高さともに2cmほどもあった。訊いたら、エゾツリバナだという。名前は知っていたが、こんな大実は初めて目にした。普通のツリバナより大きく、エゾツリバナの中でもこれは特大の個体らしい。それに葉に斑も入るという。

 上の写真は9月22日に、下は今月4日に撮影したものである。このように果実が色づき、やがて裂けて、その中からオレンジ色の種子が姿をあらわす。ただ下の写真では、その外皮の赤みの美しさが表れていないようだ。実物はもっと濃く鮮やかな紅であるが。

 ニシキギ属の植物は、熟してくると裂けるタイプの果実(蒴果)を付ける。この果実の変化の姿や色合いが、観賞の対象となる。属名になっているニシキギは、紅葉も美しいし実も楽しめる。マユミはこの実が付いている期間が長い。また マサキは秋が深まってあの果実を見ると、何となく明るい気分にさせてくれる。

 これらニシキギ属だけでなく、生け花や園芸の世界で実物(みもの)と称される植物は、変わりゆく実の色や姿に価値を見出すわけだ。言い方を変えれば、その変化の時間を楽しむという風雅な味わい方だと思う。

この実物を楽しむという文化は、ひょっとしたら日本人ならではだろうか・・・。日々好実、日々感謝。 (E.O)