(139) 「塞の神」行事 ①

塞の神 1 

塞の神 2

 写真上は出来上がった「塞の神」の前で、“神官”が祝詞をあげている場面だ。この後に点火となる。この神官、実を言うと大工さんで、職業柄この「塞の神」の塔の組み立て指揮官でもある。

 写真下は、集まった住民たちが燃え上がる「塞の神」を見守っている様子である。中には、竹ざおに吊るしたスルメを早く焼こうと待っている子供や大人も少なくない。

 二年ぶりの塞の神だった。集落の正月に行う伝統行事だが、一昨年・昨年と諸般の事情で休んでいた。しかし昨年は、大きなところではあの3月11日の東日本大震災、それにこの地域の信濃川沿岸を襲った7月末の洪水と、災害が重なった年だった。そして、いっこうに明るさが見えない国や地域の経済状況などもあり、人々が元気を失い閉塞感に陥っていたことは皆感じていたようだ。

 そうした背景がまずあったので、「塞の神」を今年は挙行しようという声は、昨年夏頃から聞こえていた。また どういう事情であれ3年は休めない、今年も休むと絶えるのではないかという気持ちを、担い手たちの多くが共通して抱いていたようだ。担い手、つまり「子成場 塞の神保存会」のメンバーである。一応、筆者もその一人ではあるが。

 そんな思いが天に通じたのか、当日は絶好の天候に恵まれた。まず、程よく積雪があった。また、穏やかで風も吹かず、降雪も無かった。こうした点から参加者が集まりやすかったし、また防火という面からも心配が少なかった。良い「塞の神」だった。

集落でつなげる伝統行事があれば 年々好年、年々感謝。 (E.O)